1月25日
信用引き締めが懸念材料、短期的なアウトパフォームは期待薄

中国国内の発電用炭価格(港出しベース)は先週下落し、国際石炭相場および原油相場も調整した。コークス用炭価格は国内の大半のエリアで安定推移し、鋼材価格は在庫の増大とは裏腹に緩やかな上昇傾向を示した。BOCIは石炭セクターの周期性に言及し、石炭市況が信用引き締めの度合いに密接に関連すると指摘。短期的な引き締め強化が石炭セクターのファンダメンタルズに影響するとの見方を示している。また、こうした要因から、石炭銘柄の短期的なアウトパフォームには期待しにくいとみている。

キーポイント

  • 中国の主要石炭積み出し港・秦皇島における大同産および山西産の高品位炭価格は、1月24日時点で1トン当たり830元、780元と、前週比で1.2%、0.6%下落した。大同南部郊外産の発電用炭坑口価格は同500元で横ばい推移。秦皇島における石炭在庫は前週比1.5%減の703万トンだった。
  • NEWCインデックス(豪ニューキャッスル港出し石炭価格)は21日現在、前週比4.1%安の1トン当たり131米ドル。豪クイーンズランド州の洪水による発電用炭供給への影響は相対的に小さく、災害からの復旧が進むのに伴い供給量も回復に向かった。また、ブレント原油先物価格は同1.1%安の1バレル当たり97.6米ドルだった。
  • 今後は旧正月シーズンを迎えて川下企業が休暇に入るため、国内の発電用炭需要が一段と下向く見通しとなっている。また、気温の高さもあり、BOCIは発電用炭価格の小幅の調整を予想。この点が石炭銘柄の株価圧迫要因になるとみている。
  • 一方、コークス用炭価格は先週、ほぼ前週並みの水準で推移したが、BOCIは短期的な上値余地は限られるとの見方。鉄鋼市況の後退や旧正月シーズンの到来がコークス用炭需要に影響する見通しを示した。主要都市部における鋼材平均価格は21日時点で前週を0.6%上回ったが、都市部の鋼材在庫は同2.1%増。これで5週連続して増大している。
  • BOCIは石炭セクターの短期的なアウトパフォームには期待しにくいとみる半面、長期見通しを楽観している。また、香港上場銘柄の中では、引き続きエン州煤業(01171)および中国中煤能源(01898)をトップピックとしている。