1月18日 A株「中立」
不動産取引量が前週比で増加、相対的な高リターンを予想

年明けから第3週目を迎え、中国国内の不動産取引面積は物件供給の回復を背景に前週を上回った。都市別に状況は異なるが、BOCIが集計している大都市部(ティア1都市)の価格指数は過去最高値を更新。中国人民銀行(中央銀行)が市中銀行の預金準備率の追加引き上げに動いたこともあり、今年上半期の金融引き締めのペースが予想を上回る可能性が出てきた。引き締め政策の効果はこの先、国内の資産価格、中でも不動産価格動向に反映される見通しだ。また、1-3月期には相次ぐ引き締め策の発表とそれに伴う株式相場の変動が予想されており、政策的な逆風下にある不動産銘柄が低バリュエーションを理由に、資金の避難所となる可能性が指摘されている。BOCIは政策リスクを理由に株価上昇局面での買いを控えるよう勧める一方、下落局面での買い増しを推奨している。

BOCIがカバーしている主要17都市では先週(1月10-16日の週)、不動産取引面積(総床面積)が前週比7.3%増の334万3000平方メートルに達した。最も大幅な伸びを示したのは深センと蘇州市。また、平均取引価格もやや上向き、広州市と深セン市が価格上昇を主導した。

この間の関連政策動向は以下の通り。◇中国人民銀行が預金準備率の追加引き上げを発表した◇不動産税の導入される見通しの都市が増え、向こう5年以内に全国規模で導入される可能性が伝わった◇湖南省武漢市が分譲用住宅の購入制限措置を導入した◇北京市と上海市が保障型低価格住宅の今年の建設目標値を発表した◇主要銀行が今年、保障型低価格住宅向けの貸し付けを優先する見通しとなった◇上海市で期限までに開発が行われなかった用地の没収が行われ、この件が論議の的となった――など。

このほか、不動産セクターの企業動向は以下の通り。◇保利房地産(600048)やその他デベロッパーが12月の販売統計を発表した◇中華企業(600675)など複数社が開発用地の取得に関する情報を発表した◇陽光城(000671)、冠城大通(600067)、深セン華僑城(000069)など各社が予想を上回る決算見通しを発表した◇陽光城がインセンティブ・ストックオプション計画を発表した――など。

不動産銘柄のバリュエーションは昨年の調整を受けて底を打ったとみられている。相次ぐ締め付け策や高ボラティリティにもかかわらず、BOCIは不動産セクターのリターンが相対的に高水準となる可能性を指摘。その理由として、現在の低バリュエーションや優良銘柄の好決算見通しを指摘した。個別では引き続き流動性が高く、業界統合の進行がプラスとなる業界最大手の万科企業(000002)と保利房地産を選好。また、地域型のデベロッパー銘柄の中では、北京首都開発股フン(BCD:600376)と濱江集団(002244)を有力視している。