A株の第三者割当増資で215億元を調達へ、資本増強を背景にビジネス拡大を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01988 中国民生銀行股フン有限公司(チャイナ・ミンシェン・バンク) 6.59 HKD
(01/10現在)
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中国民生銀行は劣後債発行に続く資金調達計画の第2弾として、法人7社を引き受け先とする第三者割当増資を実施し、総額215億元を調達する方針を明らかにした。1株当たり4.57元(5.35HKドル相当)で、A株新株を47億株発行する予定。引き受け先は上海健特生命科技、四川南方希望実業、江蘇熔盛投資集団、中国人寿保険(02628)、中国泛海控股集団、中国船東互保協会、華泰汽車集団有限公司で、うち江蘇熔盛と華泰汽車を除く5社は既存株主。ただ、増資完了後も新希望投資(New Hope Group)が筆頭株主の座を維持する。銀行銘柄が資金調達第2弾を発表するのは同行が初めてであり、BOCIによると、今回の増資は財務圧力の軽減と資本増強につながる運び。また、増資の実施には中国銀行業監督管理委員会(CBRC)、中国証券監督管理委員会(CSRC)の認可とAH株主の承認が必要となるが、株主総会は1月末に開かれる予定。BOCIは6月中に増資が完了すると予想している。

BOCIによると、第三者割当増資の実施に伴い、同行の今年末の自己資本比率は10.7%から12.1%に、Tier1比率(中核的自己資本比率)は8.2%から9.6%にそれぞれ上向く見通し。ちなみにCRBCの規定によれば、中国民生銀行を含む中小行の自己資本比率の最低基準は10.5%。仮にTier1比率が9.0%の場合、BOCIはこの先2013年末まで、追加の資金調達の必要は生じないとみている。

今回の増資により、2011年、12年のEPSはそれぞれ7.4%、6.6%希薄化される見通しだが、それでも資本増強を受け、ビジネス拡大の余地が飛躍的に広がる見込み。同行は3年計画の中で、2013年末の資産規模が2兆6000億元に拡大する見通しを示している。また、中小企業向け融資商品「商貸通」(Shangdaitong)の資産規模についても、5000億元に達するとの予測を明らかにしている。

今回の資金調達は引き受け先を限る第三者割当増資であり、BOCIは株式市場に及ぼす影響は限定的との見方だ。この先、他の本土系銀行銘柄が相次いで増資に動くとの警戒感が高まる見通しだが(増資観測は一般に株価調整要因となる)、先陣を切って第2弾に動いた民生銀行にとって、株価への影響は相対的に軽微にとどまる見込み。BOCIは同行が当面、セクター全体をアウトパフォームする可能性が高いとみている。

一方、市場では「商貸通」業務の不良債権リスクに対して警戒感が出ているが、BOCIは「商貸通」の顧客が相対的に富裕で、抵当状況も健全だと指摘。市場の警戒感が過剰反応である可能性に言及している。また、同行の利ざやが同業銘柄を上回る水準で推移する可能性や「商貸通」の安定的な利益貢献を予想。同行株価の先行きに対し、強気の見方を継続している。