石炭生産量の減少で業績下方修正、セクター内トップの収益力と財務面の強さは変わらず

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00836 華潤電力控股(チャイナリソーシス・パワー)  14.22 HKD
(01/05現在)
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BOCIは華潤電力控(CRP)の2010-11年石炭生産量の見通しを1040万トン(当初予想は1600万トン)、1590万トン(同2300万-2400万トン)に引き下げた。12年は2340万トンに据え置いた。政府の規制強化に伴う安全基準認定の取得が遅れたため一部炭坑で生産が滞り、10年1-11月の石炭生産量は1000万トン、1-7月は580万トンにとどまった。これを踏まえ、同社の10-12年予想EPSを2.2-6.8%下方修正した。

電力セクターの過去3カ月間の値動きは総じてベンチマークをアンダーパフォームしている。同期のH株指数(HSCEI)が2%高である一方、電力セクターは7-22%安。BOCIはこの理由について以下の点を指摘している。1)9-10月に検討が報じられた電力卸売価格の引き上げが実現しなかった。第4四半期以降、政府はインフレ抑制を優先し、公共料金は凍結される方向になった。BOCIは電力料金の値上げが11年第2四半期に5%の幅で実施されると予想しているが、これも確実ではない。2)発電用途の「一般炭」スポット価格が10月以降上昇。石炭積み出し港・秦皇島のベンチマーク価格は10年12月末までに10%超値上がりした。国家発展改革委員会(NDRC)が11年の石炭契約価格を据え置いたものの、これが実質的な燃料コスト安定につながるかどうかは疑問。3)省エネ・排出削減目標達成に向けた規制により10年第4四半期の電力需要が鈍化したことも影響。

BOCIはCRPの株価下落について、市場の過剰反応と指摘。同社は8-9月に行われた10年下期の業績説明会の際にすでに石炭生産量の下方修正を発表しており、10-11月に入っても株価が下がり続けていることへの正当な理由が見当たらないとしている。また、下方修正による10-11年業績への影響を1トン当たり100元で換算すると、石炭生産の税引き後利益はそれぞれ5.7%減、3.2%減にとどまるのに対し、10-11月の株価下落幅は15%に達した。さらに、CRPは電力料金および石炭価格の変動に対して業界内で最も強く、不透明な状況下でも他の電力各社と同水準に値を下げる必然性はない。

石炭生産スケジュールの遅れを受けてBOCIはCRPの10-12年予想利益を下方修正したものの、同社の11年予想ROEは13.4%と業界平均の同7.7%を上回っている。同社の11年負債比率は前年比12ポイント上昇して150%になるとみられるが、これは業界平均(11年予想)の304%に比べて極めて低い水準。11年予想EBITDAマージンは業界平均の23%に対して32%、同インタレストカバレッジレシオは業界平均1.7倍に対し3.2倍。こうした点から同社は今後も業界内で優位な業績を維持するとみて、BOCIは現在のバリュエーションを不当に低いと指摘。11年予想PBR、PERはそれぞれ1.4倍、11.1倍と過去4年間で最低水準にあり、過去3カ月間に15%値下がりした現在、その投資的魅力は大きく、引き続き電力セクターのトップピックに挙げている。