執筆:窪田真之

16日の日経平均は、278円安の16,596円でした。16日の東京時間で1ドル100.10円まで円高が進んだことが嫌気されました。日銀による日経平均連動ETFの大口買い(707億円)が出なかったことから下値が支えられず、下げ幅が大きくなりました。

米景気がゆるやかに回復に向かい、世界的に株が反発する流れが出る中、日経平均にも底打ち機運が出ていましたが、16日は円高復活で再び下げました。今後、日銀のETF買いで日経平均の下値が支えられるか、正念場です。

17日の日本時間午前6時現在、1ドル100.29円でした。16日のCME日経平均先物(9月限)は16,560円でした。

(1)日経平均の13週・26週移動平均線とも一時上向きに転じる

以下に、日経平均週足チャートの、移動平均線を使ったきわめてシンプルなテクニカル分析を示しています。

日経平均週足および13週・26週移動平均線の推移:2015年1月5日―2016年8月15日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

強気・弱気の判断基準は以下の通りです。

  • 13週移動平均線と26週移動平均線が両方とも上向き(上昇中)の時は「強気」
  • 13週・26週線がともに下向きの時に「弱気」
  • 13・26週線の一方が上向きで他方が下向きの場合は「中立」(判断不能)

2015-16年の日経平均週足チャートに、①-③の基準に従って「強気」「弱気」を書き込んだものが、上のチャートです。この基準で2015年8月に弱気転換した日経平均は、以後、「弱気」「中立」を繰り返していました。

2016年8月12日に、13週移動平均線と26週移動平均線が同時に上向きに転じました。約1年ぶりの「強気」転換です。ただし、8月16日の日経平均が大きく下がったので、このままだと13週移動平均線は、再び下向きに転じます。8月12日の強気転換が日銀の買い支えによる一時的な「だまし」となってしまうのか、ここは正念場です。

今週、再び日銀による707億円のETF大口買いが出る可能性は高いと考えられます。日銀の買いに支えられて日経平均が週末までに16,835円以上に戻れば「強気」シグナルは継続します。鍵を握るのは、為替です。為替が1ドル100円を割り込んでいくのか、1ドル101円に戻るのか、注目しています。

(2)9月に中間配当を受け取る権利が確定する大型好配当利回り株に注目

私は、日本の大型株は割安であり、日本の企業業績は最悪期を脱したと判断しています。ただ、景気・企業業績とも回復力が弱く、強気転換には時期尚早です。それでも配当利回りの高い大型株から、積み立て型で時間分散しながら買い増ししていく価値はあると考えています。

円高進行で日経平均が大きく下がるリスクをまだ完全には払拭できませんが、米国景気がゆるやかに持ち直し、年内に米利上げが見込めると考えると、為替の円高圧力は今後、徐々に低下していくと予想しています。

円高トライで日経平均が大きく下がる場合は、9月に中間配当を受け取る権利が確定する好配当利回り株を中心に押し目買いの好機になると思います。