執筆:窪田真之

8月8日~10日、窪田は夏季休暇で不在です。その間、「クイズで学ぶテクニカル指標①~③」をお届けしています。今日が最終回です。

祭日明けの8月12日(金)は、「3分でわかる!今日の投資戦略」の通常レポートに戻ります。12日の執筆担当者は、香川睦です。

(1)まず、クイズです。

以下のI社チャートには、売りシグナルが点灯しています。

13週・26週移動平均線ともに下向きで、株価は安値を更新しており、ここから一段安になる可能性が高いと判断されます。

I社株チャート

(注:筆者作成)

ただし、本連載で毎回ご説明している通り、売買シグナルは100%当たるとは限りません。7割の確率で当たれば、立派な売買シグナルですが、3割の確率で外れることもあります。

さて、それでは上のI社株について、以下の事情がある場合に、売るべきか考えてください。①~⑩の問いに、「はい」か「いいえ」で答えてください。

  • 高値の5,200円で買ったのでここで売ると損が大きい。それでも売りますか?
  • リバウンドを期待して昨日3,800円で買ったばかりだが、リバウンドしないで3,600円に下がってしまった。それでも売りますか?
  • 過去に大儲けした相性のいい銘柄でも売りますか?
  • 父親がかつて働いていた会社ですが、それでも売りますか?
  • いつも読むマネー誌で最近勧めていた銘柄ですが、それでも売りますか?
  • テレビによく登場する「名経営者」が社長を務める会社ですが、それでも、売りますか?
  • 期末の配当金を受け取るための権利確定日を明日にひかえている。それでも、今日すぐに売りますか。
  • 売ろうとしたら、投資仲間から「そこまで下がったら買いじゃないか」と言われた。それでも売りますか?
  • 売ろうとしたが、場に買い物があまりない。成り行きで売ると、3%の下値。それでも、売りますか?
  • 今日はたくさんの人と会う約束があって、とても忙しい。明日ならば、自由時間はたっぷりある。それでも今日売りますか?

(2)大きく下がってしまった銘柄を損切りする決断はなかなかできない

株をいいタイミングで買うことができる人も、いいタイミングで売るのは難しいものです。特に、損切りができない人がたくさんいます。

純粋にチャートだけ見れば「売った方がいい」とわかる場合でも、プロのトレーダーでないと、なんだかんだと言い訳をつけて売らない場合があります。

①~⑩はすべて、損切りを決断できずに、損失を拡大させてしまった投資家が後悔する「売らなかった理由」です。クイズの答えですが、①~⑩すべてに「はい」と答えるのが正解です。すべてに「はい」と答えられれば、いろいろ言い訳せずに、きっちりと売りを実行できる人、ということになります。

売りシグナルは、100%当たるものではありません。ここが大底で、売った途端に株価が急反発することもあり得ます。7割の確率で売りが成功しても、3割の確率で売りは失敗するわけです。

私は、こういう銘柄を売るのに躊躇しません。売りが失敗で、株価が急反発しても後悔しません。7割の確率で当たる売りシグナルにきちんと従うことが、長期的に相場に勝つ方法と知っているからです。

ちなみに、I社は実在する会社です。I社のその後のチャートをここに掲載します。損切りを決断できないとどんどん損が拡大するパターンです。こういう銘柄を損切りは自分自身で決断しなければなりません。

I社その後

(注:アイフル株価2005年7月―2008年12月株価より、筆者作成)