12月14日 A株「中立」
取引面積、物件価格ともに前週を下回る展開、バリュエーションの低さを注視

BOCIが調査対象としている中国主要17都市の不動産セクターの先週(12月6-12日)の動向は、取引面積、価格ともに前週を下回る傾向を維持した。BOCIの予想どおり、 湖南省長沙および福建省福州といった2級、3級都市の物件値動きが1級都市をアウトパフォーム。これらの地域では自家用物件への需要が増加し、政府の不動産加熱抑制策の効果が比較的みられなかった。政府のさらなる規制強化への警戒感が今後も不動産セクターの上値を重くする一方で、バリュエーションの低下により同セクターの長期的な投資価値は高まる方向にあるとBOCIはみている。

市場動向:17都市における先週の物件取引面積は、前週比4.3%減の348万8000平方メートル。北京および天津が減少を主導した。平均取引価格指数は下向きを維持。重慶および武漢が最も値を下げた。

政策動向:
 1)中央経済工作会議が開催され、2011年の経済政策の方向性を確認。
 2)重慶市が不動産規制を強化。不動産税の試験導入に向けた準備を開始。
 3)中国の11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.1%増。政府は預金準備率(RRR)を再度引き上げると発表。
 4)新華社通信によると、政府は低所得者向け公営住宅の今年の供給目標(580万戸)を達成した。

企業動向:保利房地産(600048)および恒大地産(03333)が11月の販売実績を発表。恒大地産集団は市況に反して単月の販売額で今年最高を記録。2)保利房地産集団、湖北福星科技(000926)、栄盛房地産発展(002146)が開発用地の取得状況を更新。3)深セン上場の陽光新業地産(000608)が不動産2社を買収。

不動産セクターの現在のバリュエーションは比較的安全な投資利益が期待できることを示している。2010年終わりから2011年初めにかけて不動産規制策の追加導入が頻繁に行われるとみられる状況下、同セクターのバリュエーションの回復は見込まれない。一方で、11年1-3月期までは一部不動産銘柄が長期の投資先として魅力的になるとBOCIは指摘。個別では、業界大手の万科企業(000002)のほか、販売が好調な保利房地産を選好。地方開発業者では、2級都市で事業展開する北京首都開発(600376)、湖北福星科技、杭州濱江房産集団(002244)を有望視している。