11月23日
発電用炭価格が引き続き上昇、一段の上値余地は限定的か

中国の石炭積み出し港・秦皇島では先週、山西産の高品位炭価格が前週比0.6%上向き、大同南部郊外産の発電用炭坑口価格は同1.0%上昇した。ただ、BOCIは在庫レベルが相対的に高水準にあることや、国内沿岸石炭運賃指数の小幅の下落、さらに年末に向けて大規模なエネルギー消費削減策や排ガス抑制策が行われていることなどを指摘し、発電用炭価格の一段の上値余地は限られるとの見通しを示した。また、インフレ圧力が高まる中、発電会社との間で契約価格交渉を進める大手国有石炭会社に対し、中国政府が値上げ制限を課す可能性に言及。石炭セクターのファンダメンタルズに不透明感が出ているとし、セクター全般を取り巻く状況がより明確になるまで慎重姿勢を維持するよう投資家に勧めている。

大同南部郊外産の発電用炭は11月22日時点で前週比1.0%高の1トン当たり490元となり、9月27日以降の累計値上がり率は8.9%に上った。このほか、秦皇島では大同産の高品位炭価格は前週比1.2%高の同855元。山西産の高品位炭価格は同0.6%高の同800元となり、9月27日以降の累計値上がり率は12%に達した。

秦皇島における石炭在庫は22日に前週比0.2%増の625万トン。BOCIは現在の在庫および需要レベルを考慮し、発電用炭の一段の上昇余地が限られるとみている。

一方、国内沿岸石炭運賃指数は17日時点で前週比0.9%調整した。同指数の下落はこれで3週連続。BDI(バルチック海運指数)も5週連続で下向き、19日には同7.3%低下した。BOCIは国内沿岸石炭運賃指数が中国南部沿海地域の石炭需要を反映しているとの見方を示している。また、過去の事例から、同指数のトレンドが秦皇島の石炭価格の先行指標となる傾向を指摘。このところの指数低下を受け、石炭相場が下支え要因を欠く可能性に言及している。

このほか、NEWCインデックス(豪ニューキャッスル港出し石炭価格)は19日に前週比0.3%安の1トン当たり109米ドル。ブレント原油先物相場は同2.3%安の1バレル当たり84.3米ドルとなり、11月10日からこれまでの下落率は5.2%となった。

また、原料炭およびPCI用炭価格は22日現在、前週並みの水準で推移し、コークス炭価格は遼寧、黒龍江、山西の3省限定で約2%の値上がりを示した。

主要都市部における鋼材価格は19日に同0.6%安。鋼材在庫は同1.2%減少し、これで6週間連続で下向いた。

石炭銘柄の値動きもこのところ低調であり、10月25日から11月22日までの値下がり率は17%。先週1週間だけで9.2%調整した。