11月15日 A株「中立」 H株「中立」
石炭高騰が懸念材料、インフレ高進で電気料金値上げ先送りの可能性も

電力セクターは石炭調達価格と電気料金レベルのバランス悪化に直面しやすいという構造上の問題を抱えており、最近では相場全体を大幅にアンダーパフォームしている。香港上場の本土系電力銘柄5社はいずれも、現在株価のPERがヒストリカル平均値を大きく下回る水準にある。BOCIは2011年の利益見通しに電気料金引き上げの可能性がほぼ織り込まれている点を指摘。石炭価格が上昇する中、政府当局が短期的に電気料金の引き上げを実施しても、支援効果は一時的となる可能性に言及している。また、利上げを背景とする利息負担の増大もセクター全般の懸念材料。BOCIはこうした点を考慮し、セクター全般に対するレーティングを中立的な見方にダウングレードした。個別では石炭価格の高騰に対する抵抗力が弱く、利益見通しが明確さを欠く銘柄を除外した上で、優良銘柄を選好。華潤電力控股(00836)と大唐国際発電(00991)に対して強気見通しを示している。

電力セクターの年初からの株価パフォーマンスは、BOCIのカバー銘柄の中でもほぼ最低水準にある。今冬の厳しい寒さが見込まれる中、石炭スポット価格がこのところ上昇していることが背景。H株銘柄(AH重複上場銘柄)3社が発表した2010年1-9月期決算は個別に明暗を分け、BOCIは決算内容の面から、大唐国際発電、華能国際電力(00902)、華電国際電力(01071)の順に評価している。

電力銘柄は慢性的に、石炭調達価格と電気料金との“攻防”にさらされており、発電用炭スポット価格が10月初めから10.4%上昇している現在の環境は電力セクターに不利。2011年度向けの石炭契約価格を決める電力会社と石炭事業者との交渉は現在、こう着状態に陥りつつあるという。BOCIは11年度向けの石炭契約価格(標準型)について前年比3%の値上がりを予想しながらも、実際の上昇幅がさらに大きくなる可能性を指摘した。一方、電気料金については、中国政府がインフレ懸念を背景に値上げを先送りする可能性が出ている。

BOCIは2011年、12年の発電量がそれぞれ、前年比11.0%、9.6%の安定的な伸びを示すとの見方。原子力発電や風力発電の開発が進む中、石炭火力発電量に関してはそれぞれ8.5%、8.1%の伸びを見込み、セクター全体の設備稼働率の改善を予測した。一方、利上げを受けた電力各社の金利負担の増大に言及し、主にA株市場での増資の可能性を指摘している。