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携帯番号ポータビリティ制を2地域で試験導入、キャリア勢力図に変化も

Sina Technologyが伝えたところによると、中国では11月22日から天津市と海南省限定で、携帯電話の番号ポータビリティ制度が試験導入される見通しとなった。当初は2地域に限られるものの、BOCIは通信キャリア3社のうち、チャイナ・ユニコム(00762)とチャイナ・テレコム(00728)にとって長期的にプラスになると予想。一方、最大手のチャイナ・モバイル(00941)にはマイナス影響が及ぶとみている。

このうち海南省では変則的なポータビリティ制度が導入され、チャイナ・モバイルの2G加入者だけが、現番号を持ったままユニコム、テレコムに移ることが可能。一方、天津市では基本的に制限なしで同制度が導入されるが、唯一、モバイルの3G(国産TD-SCDMA規格)加入者だけが対象外。キャリア3社の2G加入者は全面的に同制度を利用することが可能で、ユニコム、テレコムに限っては3G加入者も利用できる。ただ、海南省、天津市ともに同制度の利用は域内に限られ、他地域のキャリアに移る場合などは対象外となる。

BOCIによると、この制度はARPU(加入者1人当たり月額収入)がより高いユーザーを獲得できる点で、ユニコムとテレコムに有利。残るモバイルに関しては、ハイエンドユーザーの流出防止に向けたコスト増大を予測した。さらにモバイルのGSM(2G)ネットワークを通じてスマートフォンなどを利用しているデータサービスのヘビーユーザーの間では現在のサービス環境に不満の声もあり、こうした層がユニコムの3Gに移る可能性があるとしている。

当初は携帯電話利用者が計1660万人にとどまる2地域が対象であり、当面の影響は限定的とみられるが、BOCIは来年中には対象エリアが拡大する可能性を指摘。東部の大都市で同制度が施行されれば、セクター全体に大きな影響が及ぶとみている。

一方、BOCIはポータビリティ制度の恩恵が見込まれるキャリア2社に対し、以下の見通しを示している。

◆チャイナ・ユニコム:2011-13年の業績は3G加入者の増加ペースに大きく左右される見通しであり、ポータビリティ制度の導入が最も利益の上振れにつながりやすい。3G加入者純増数がBOCIの想定値より10%上向くごとに、同社利益は9-14%拡大する見込み。固定費が相対的に高いこと、3G加入者基盤そのものが小さいことなどが、3G加入者数への依存度の高さの理由となっている。

◆チャイナ・テレコム:ネットワークのカバーエリアや音声通信の質、データ処理能力はキャリア3社の中でトップ。また、同社は中国南部での固定通信事業や法人顧客向け販路の面でも優れ、同制度の導入が新規顧客の質的向上を後押しする見込み。この点が同社の収益性向上に向けたカギとなる。