先週の日経平均は、1週間で76円下がって16,938円となりました。先々週に17,000円を回復したことから、週前半は戻り待ちの売りものが増え、9日(水)には16,642円まで下がりました。ただし、世界的にリスク資産を買い戻す流れが続いていることから、週後半は反発に転じ、11日(金)には16,938円と17,000円手前に戻しました。

11日のCME日経平均先物は、17,035円まで戻しており、今週の日経平均は、17,000円台を回復して始まると考えられます。ただし、今週は、15日(火)と16日(水)にドル円為替レートを動かす可能性のあるイベントが控えており、注意を要します。今週の日経平均は、16,500-17,500円の範囲で乱高下する可能性があります。

(1)世界的にリスク資産を買い戻す流れが継続

足元、原油先物を始め鉄鋼石・銅・白金・金などコモディティー価格が一斉に反発する中、資源国の通貨や株が買われる流れが続いています。リスク資産がなんでも売られる流れから、リスク資産が少しずつ買い戻される流れが出つつあります。日本株も、その流れの中で戻り歩調になっています。

資源価格の上昇は、世界的な金融市場の混乱を収束させるのに、大きな効果があります。昨年8月以降、資源価格の急落が、世界景気を悪化させ、さらに産油国による世界の金融資産の売りを誘発してきたことがわかっているからです。

原油の反発によって、世界的にリスク資産が買い戻されるのは、自然な流れです。日本株にも、昨年8-9月に加え、今年の1-3月に、産油国から売りが出ていた模様です。原油価格の下げが一服すれば、産油国の売りも一巡すると予想されます。

ただし、まだ波乱要因は残っています。一番心配なのは、為替です。米国FRBが今年、まったく利上げができないと、円高が進む可能性があります。円高が進む局面で、日経平均が急落する可能性は注意が必要です。

日経平均週足:2014年4月―2016年3月(11日まで)

(2)今週のイベント、日米金融政策に注目

円高が進むと、日経平均が急反落するリスクも残っています。今週は、為替を動かす可能性のあるイベントが2つ控えています。

  • 日銀金融政策決定会合
    14(月)-15日(火)に開かれる日銀の金融政策決定会合が注目です。15日の昼ごろに結果発表があります。政策変更はないと予想されますが、サプライズで何か動きがあると、市場に影響します。また、結果発表後の記者会見で、日銀黒田総裁が何を語るかも重要です。マイナス金利のマイナス幅をさらに拡大する意思があるのか、あるいは、これ以上マイナス幅を拡大することには消極的なのか、どちらを意図した言い方か、読み取る必要があります。
    マイナス金利にさまざまな弊害があることがわかってきています。黒田総裁がそれを認めるとは考えられません。今後、マイナス幅を拡大することに積極的か否か、そこから読み取るしかないと思います。
    黒田総裁が、これ以上の緩和(マイナス金利のマイナス幅拡大)に消極的ととられると、円高が進みやすくなります。ただし、マイナス金利で売られた金融株は、追加緩和への不安がなくなれば、いっせいに買い戻しが入ることになると思います。
    引き続き、マイナス金利のマイナス幅をさらに拡大することに積極的ととられると、円高の進みにくくなりますが、金融株の上値を抑えることになります。
  • 米FOMC(金融政策決定会合)
    もう一つの注目イベントは、米FOMCです。16日(水)に結果発表があります。政策変更(利上げ)はないと思われますが、結果発表後の記者会見で、イエレン米FRB議長が何を語るかが重要です。
    6月以降の利上げに強い意欲を示せば、ドル高(円安)が進みやすくなります。利上げは当分できないと示唆すれば、ドル安(円高)が進みやすくなります。
    今週は、イベント後に為替が動き、つれて、日経平均が乱高下する可能性も頭に入れておく必要があると思います。