8日の日経平均は、128円安の16,783円でした。前日の海外市場でWTI原油先物(期近)が1バレル37.90ドルまで上昇したことは強材料でしたが、為替が1ドル113円を割れる円高となったことが嫌気されました。

当面、日本株は、為替と原油先物の動きを見ながら、上がったら少し売り、下がったら少し買うスタンスの継続でいいと思います。8日の海外市場で、WTI原油先物(期近)は反落し、為替は1ドル112円台の半ばまで円高が進んでいます。今日の日経平均は下げて始まりそうです。

(1)資源価格の反発が続いている

足元、原油先物だけでなく、鉄鉱石・銅・白金などの資源価格が一斉に反発基調となっています。為替市場では、ブラジル・レアル、ロシア・ルーブルなどの資源国通貨が、急反発しています。

WTI原油先物(期近):2015年12月31日―2016年3月7日

LME銅地金価格:2016年1月1日―3月7日

中国の全人代(全国人民代表大会)で、李克強首相が、鉄道網整備などに2兆元(約34兆円)の公共投資を実施すると表明したことも、コモディティ(商品)市況の強材料となっています。リーマンショック直後の2009年から実施した4兆元の公共投資は、中国景気を一時的に過熱させましたが、その時に非効率な投資を拡大させたことが中国経済の構造問題を生んでいます。大型公共投資に頼って景気を支えようとする姿勢に危うさは感じますが、何はともあれ、短期的には中国景気の持ち直しにつながる可能性があります。

世界中の資源を爆食してきた中国の景気失速が、資源安の原因となってきただけに、中国需要回復の可能性が出たことが、コモディティー(商品)の買戻しを誘っています。

資源価格の本格反騰が始まっているのか、去年後半に下げ過ぎた単なる反動なのか、現時点でわかりません。いずれにしろ、リスク商品が何でも売られる世界的な「リスク・オフ」は終わりつつあると思われます。

(2)原油の供給過剰は現時点で解消されていない

3月20日以降にOPECの主要産油国が非OPECのロシアも含めて、増産凍結について話し合うことが、原油反発を後押ししています。ただし、イランが増産凍結に合意する可能性は低く、楽観はできません。仮に形だけ増産凍結に合意しても、それが守られないリスクもあります。

また、中国の2兆元投資が果たしてすぐに実行されて原油の輸入増加に直結するかも現時点でわかりません。投機筋の買いで、原油先物の反発が大きくなっていますが、まだ原油の下値不安が払拭されたとは言えません。

米国でシェールオイルの新規開発が減少していますので、いずれ、シェールオイルの生産減少が顕著になってくると思います。そうなれば、原油の反発に弾みがつくと思いますが、そうなるまでにまだ、かなり時間がかかりそうです。今のところ米国シェールオイル業界では、既存の大型油田が増産しているために、全体の産油量が大きくは減りにくくなっています。