3日の日経平均は213円高の16,960円でした。先物・オプションにからむ投機的ポジションの整理が進み、また産油国による日本株売りも目先一巡した可能性があり、日本株の底値は徐々に堅くなってきた感じです。

まだ、原油先物の売りや円高をきっかけに日経平均が下落する局面は、あると思いますが、ここからは「下がったら買い」のスタンスで良いと思います。

今日は、2種類の好配当利回り株をご紹介します。攻めの6銘柄と、守りの6銘柄です。

(1)攻め・守りの意味

本レポートでは、景気敏感業種から選ぶ株を「攻めの銘柄」、景気の影響が比較的小さい業種から選ぶ株を「守りの銘柄」と呼びます。攻めの銘柄は値動きが荒く、下げる時は大きく下げ、上げる時には大きく上げる傾向があります。

これに対し、ここで守りの銘柄と呼ぶものは、攻めの銘柄より価格変動が小さくなる傾向があります。ただし、株である以上、値上がり値下がりはします。あくまでも、相対的に値動きが小さいというだけですので、ご注意ください。

(2)攻めの6銘柄

以下の2条件を設定して、楽天証券スーパースクリーナーを使って、大型の好配当利回り株(REIT:上場不動産投資信託を含む)を抽出しました。

  • 予想配当利回り2.4%以上
  • 時価総額1兆円以上 (REITは8000億円以上)

上記条件で抽出された銘柄から、景気敏感業種に属する6銘柄の投資参考銘柄を選んだのが、以下の表です。

攻めの好配当利回り銘柄:2015年7月末から2016年3月3日までの株価騰落率を日経平均と比較

コード 銘柄名 3月3日
株価:円
2015年7月末比
株価騰落率
配当利回り
  日経平均 16,960.16 -17.6% 1.7%
7203 トヨタ自動車 6,178.0 -25.1% 3.2%
6902 デンソー 4,461.0 -27.5% 2.7%
7011 三菱重工業 427.0 -34.9% 2.8%
8316 三井住友FG 3,604.0 -35.0% 4.2%
6501 日立製作所 507.2 -36.9% 2.4%
8306 三菱UFJ FG 551.3 -38.7% 3.3%

(注)配当利回りは会社予想ベース、楽天証券経済研究所が作成

表をご覧いただくとわかる通り、攻めの好配当利回り株は、昨年8月以降の日経平均下落局面で、日経平均よりも値下がり率が大きかったことがわかります。下げが大きかった分、今後、日経平均が上昇局面に入る場合は、上昇率が高くなる期待があります。

ただし、世界経済に不安が高まり、世界的なリスク・オフ局目が訪れると、外国人から売りが出易い銘柄です。これからも、値動きは荒いと考えられます。

(3)守りの6銘柄

同じ条件で抽出した好配当利回り株から、ディフェンシブ(景気の影響が相対的に小さい)業種に属する投資参考銘柄6銘柄を選んだのが、以下の表です。

守りの好配当銘柄:2015年7月末から2016年3月3日までの株価騰落率を日経平均と比較

コード 銘柄名 3月3日
株価:円
2015年7月末比
株価騰落率
配当利回り
8951 日本ビルファンド投資法人 670,000 20.9% 2.5%
8952 ジャパンリアルエステイト投資法 672,000 20.9% 2.4%
9437 NTTドコモ 2,681.5 2.6% 2.6%
4568 第一三共 2,544.0 0.2% 2.8%
2914 日本たばこ産業 4,794.0 -0.4% 2.7%
4502 武田薬品工業 5,556.0 -11.0% 3.2%
  日経平均 16,960.16 -17.6% 1.7%

(注)配当利回りは会社予想ベース、楽天証券経済研究所が作成。日本ビルファンド投資法人およびジャパンリアルエステイト投資法人は、REIT(上場不動産投資信託)で、株と同じように東京証券取引所で売買可能。

ご覧いただくとわかる通り、これらの銘柄は、日経平均下落局面で、日経平均より下落率が小さかったか、あるいは、逆に上昇していることがわかります。守りの銘柄の役割を果たしているといえます。これからも、守りの好配当利回り株として投資する価値はあると考えています。

REIT(リート)2銘柄は、ともに都心部の優良物件に投資するオフィスREITです。長期金利がマイナスまで落ちたことにより、2%台の利回りでも注目できます。

NTTドコモ(9437)は、総務省主導のケータイ料金の値下げが骨抜きになる可能性が高まったことが好材料です。ケータイ利用者としては残念なことかもしれませんが、株主には好材料です。利用の少ないユーザーには、これまでよりも低い料金が提示されるものの、それ以外、目立った料金の引き下げはありません。

総務省は、新規加入者へのゼロ円ケータイの提供を禁止することに執念を燃やしていますが、これは逆にケータイ3社の収益に追い風です。新規加入の獲得のために、多大なコストをかけていたのが、かけなくて良くなるからです。もし、総務省の指導でなく、3社が話し合ってゼロ円ケータイをやめるならば、これは、「談合」として違法行為になります。ところが、今回、総務省の強力な指導によって、堂々と3社で協調して、ゼロ円ケータイをやめることができるようになったわけです。他社を出し抜いて、加入者を増やすことが難しくなった一方、他社に出し抜かれて、加入者を引き抜かれるリスクも減ったわけです。

なお、医薬品やタバコ株も、それぞれ景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ性が評価できます。

(4)守りの6銘柄に投資する場合の注意事項

守りの銘柄は、日経平均の反発が続いても、あまり株価上昇率は高くならないと考えられます。比較的値動きが落ち着いた好配当利回り株として、長期投資するにはいいですが、日経平均の反発局面での株価反発を狙うのでしたら、期待はずれとなる可能性もあります。相場の下げには相対的に強いが、相場の上げ局面で活躍する株ではありません。

攻めの好配当利回り株と、守りの好配当利回り株は、それぞれの特色と役割を理解した上で、両方に分散投資していくことが望ましいと思います。