先週の日経平均は、1週間で221円上昇し、16,188円となりました。為替を、見ながら動く1週間でした。週半ばに円高が進み(2月24日の海外市場で一時1ドル111.00円)、日経平均が16,000円を割れる要因となりました。その後、円安に戻った(2月26日に1ドル113.86円)ことから、日経平均は買い戻され、16,000円台を回復しました。

今週も、円高一服を好感して、週初は上昇して始まることが予想されます。ただし、為替に波乱をもたらすイベントが週後半に多数控えていますので、週後半には上値が重くなる可能性があります。

(1)円高・原油安一服、上海株は引き続き不安定な動き

足元の日経平均の短期的動きに一番大きく影響しているのが、為替です。続いて、原油先物の動きにも影響を受けています。今週は、円高・原油安が一服していることを好感して上昇して始まりそうです。

上海株の動きも、注意が必要です。先週は、人民元切り下げをきっかけに売られ、不安定な値動きとなっています。

年初からの日経平均・上海総合株価指数・WTI原油先物(期近)・ドル円為替レートの動き:2015年12月末~2016年2月26日

(2)今週は、重要イベントが多い

今週は、為替や株価に影響する重要イベントが多く、注意を要します。

本日(2月29日):1月の鉱工業生産指数(速報値)

昨年11月(前年比▲0.9%)、12月(同▲1.7%)と、鉱工業生産の減少が2ヶ月続いており、警戒されています。1月に注目が集まっています。

3月1日(火):スーパーチューズデー(米大統領制をめぐる党員集会・予備選の集中日)

ここで、民主党・共和党の候補者選びの大勢が判明します。民主党では、これまでヒラリー・クリントン氏が優勢でしたが、「民主社会主義」を標榜するバーニー・サンダース氏が支持率を上げてきています。共和党では、過激発言を繰り返すドナルド・トランプ氏が支持率トップを走っています。

トランプ氏・サンダース氏の支持率が上昇しているのは、米国の既存の経済政策に不満を持つ若年層が増えていることが背景と考えられます。所属する党は異なりますが、両氏とも、既存の経済政策を否定していることが共通点です。ともに、資本主義から遠ざかる政策(反FRB・反ビジネス・保護主義・富裕層課税)を提唱しており、両氏の支持拡大が続くと、ウォールストリート(米国株)に逆風と考えられています。

3月1日(火):2月の米ISM製造業景況感指数

景況判断の分かれ目である50を下回った状況が続いています。ドル高が輸出産業に、原油安が石油関連産業に逆風となっています。2月も米製造業の低迷が続いていると、考えられます。米FRB(中央銀行)による、ドル高(金利引き上げ)政策の見直しに影響する可能性があります。

3月3日(木):2月の米ISM非製造業景況感指数

アメリカで好調であった非製造業も減速しつつあります。

3月4日(金)2月の米雇用統計

米経済に減速感が出る中、雇用情勢だけは強い状況が続いてきました。雇用統計は、今後の米FRBの利上げ判断に影響が大きいので注目されます。

3月5日(土)中国で全人代(全国人民代表大会)開幕

中国政府が、景気失速を避けるために公共投資を増額するか。あるいは、構造改革を優先し、短期的な景気浮揚策はとらないか。中国政府による、中期的な経済運営指針が示されることに注目が集まっています。