10月26日 A株「中立」
不動産過熱抑制策の影響で取引減少

中国主要都市部(1級都市)の不動産取引は先週目立って落ち込み、中堅都市部(2級都市)でも市況の後退がみられた。政府当局による新たな不動産過熱抑制策の導入が背景。これまで過熱感すら出ていた買い手側の購買意欲が弱まり、この先の新築物件供給の急増に伴う販売状況への影響が注目されている。BOCIは先週の不動産市況の後退や政策リスクを指摘し、不動産セクターでは当面、バリュエーションが主な買い材料になるとみている。

BOCIの調査によると、主要17都市における不動産取引面積は10月19-25日週に前週比17.7%減の420万平米。市政府が購入制限措置を導入した広東省広州市、浙江省寧波市を筆頭に、平均取引価格も再び調整した。

この間の関連政策動向は以下の通り。◇中国人民銀行(中央銀行)がインフレ抑制に向け、34カ月ぶりの利上げを実施した、◇北京市をはじめとする地方政府当局が物件予約分譲収入の利用に関する規制を強化した、◇国土資源部が不動産デベロッパーの土地関連違法行為に対し、責任者を拘束するとの方針を発表した、◇財務部により、新たな不動産税法が1年以内に施行される見通しが示された。

このほか、不動産セクターの企業動向は以下の通り。◇BOCIのカバー銘柄のうち9社が先週、2010年7-9月期決算を発表し、うち7社が増益を確保した、◇保利房地産(600048)などを含む複数の上場企業が最近になって保有開発用地を増やした、◇万科企業(000002)が新たなストックインセンティブ・プランを発表した。

BOCIは最近の利上げに加え、予約分譲収入の用途に関する規制強化、さらに不動産税の導入見通しなど、一連の政策が不動産セクターのマイナス要因になると指摘。主要都市部では今のところ新築物件販売の大幅な落ち込みはみられないとしながらも、政策要因が物件購入意欲や投資家心理に影響しているとし、商品関連銘柄などと比較したバリュエーション面の割安感が不動産銘柄の主な買い材料になるとみている。また、個別では引き続き、販売規模が大きい全国規模の大手デベロッパー、万科企業と保利房地産を選好。バリュエーション要因のほかに、利益見通しの上方修正が両銘柄の支援材料となる可能性に言及している。