25日の日経平均は224円高の16,140円でした。前日の海外市場で一時1ドル111円まで円高が進み、不安が高まりましたが、25日の東京市場では1ドル112円台半ばに戻りました。為替が円安に向かうにしたがって、日経平均も徐々に上昇幅を広げていきました。

26日日本時間午前6時現在では、1ドル112.93円です。

さて、2月24日のレポートで日経平均の年末予想レンジを、18,000―21,000円に変更したことをお伝えしましたが、今日はその補足説明を行います。

(1)年末の日経平均予想

  年末予想 PER評価
メイン・シナリオ 21,000円 16.8倍
リスク・シナリオ 18,000円 14.4倍

(出所:楽天証券経済研究所)

日経平均の予想値を決める際、楽天証券経済研究所では、まず企業業績(利益)の変化を予想します。次に、予想利益の何倍まで株価が買われるかを予想します。現在、日経平均に換算した1株当たり利益を、来期(2017年3月期)1,250円と予想しています。1,250円に、妥当と考えられるPER16.8倍を掛けたのが、メインシナリオでの日経平均予想21,000円です(1,250円×16.8倍=21,000円)。

リスク・シナリオでは、利益の14.4倍までしか日経平均が上昇しないケースを想定しています。1,250円にPER14.4倍を掛けたものが、リスク・シナリオの日経平均予想18,000円です(1,250円×14.4倍=18,000円)。

株価が1株当たり利益の何倍まで買われているか示す指標を、PER(株価収益率)といいます。「ピー・イー・アール」または「パー」と読みます。

今日は、日経平均の妥当PERが14.4~16.8倍と考えている理由について書きます。

(2)東証株価指数(TOPIX)のPER

今の妥当PERを考える時、参考になるのが、過去のPERです。東証一部(TOPIX)の過去の予想PERを、大まかにまとめたのが、以下の表です。

TOPIXの予想PER、年代別のザックリした範囲

TOPIX予想PER
2011-2016 15-17倍
2004-2010 20倍
2001-2003 25-40倍
2000 50倍
1996-1999 60-70倍

(注:赤字などPERが異常値のところは除く。楽天証券経済研究所が作成)

この表を見るとわかる通り、日本株(TOPIX)のPERは、過去は高かったが、最近、どんどん低くなっています。一般的に、PERは成長性が高い株ほど高くなります。また、利益の安定性も高い株ほどPERが高くなります。

日本株(TOPIX)のPERは、バブルのピーク(1989年)ころは、60倍くらいでした。当時、日本経済の成長性が高いと信じられていたから、日本株はPERで高いところまで買われていました。年を経るにしたがって、少子化が進む日本の成長性が低いという認識が広がり、PER水準は低下していきました。

リーマンショック前はそれでも、PERで20倍程度には評価されていました。中国・ブラジル・インド・ロシアなどが高成長国だと思われていたころであり、日本でも新興国向けビジネスに成長性があると考えられていた時です。

リーマンショック後、中国および新興国の成長神話も崩壊しました。日本企業も、その影響を受けて、成長性が低下してきています。そうした背景があって、近年は、PER15-17倍で評価されていました。

楽天証券経済研究所で、日経平均予想に使う妥当PERを14.4倍~16.8倍としているのは、リーマンショック後の日本株が概ねその範囲で評価されてきたからです。