2月24日の日経平均は前日比136円安の15,915円でした。今週は、これまで16,000円中心の狭いレンジで動いています。最近、原油先物・上海株が反発していることは安心感につながっていますが、円高がジリジリ進んでいることが不安を生じています。

24日の海外市場で、一時1ドル111.04円まで円高が進み、2月11日にロンドン市場でつけた高値(110.97円)に迫りましたが、日本時間午前6時40分現在は、1ドル112.15円となっています。CME日経平均先物(3月限)は円高進行で一時15,525円まで下がりましたが、15,940円まで戻りました。

(1)為替・原油先物・上海株を見ながら、日本株を動かす投機マネー

年初からの日経平均・上海総合株価指数・WTI原油先物(期近)・ドル円為替レートの動き:2015年12月末~2016年2月24日(WTI原油先物は23日まで)

日経平均は、円高・原油安・上海株安を受けて、年初から急落しました。1月4日は上海株急落を受け、日経平均も急落しました。上海株の下げが一服した後は、原油先物の急落を受けて、日経平均も下がりました。原油先物が反発した後は、円高急伸でさらに売られています。

最近、上海株・原油先物が反発しつつあることが、日本株に追い風となりましたが、円高を試す動きが収まらないことが、日本株の上値を抑えています。

(2)中国が人民元切り下げを容認していることが、不安の種に

中国人民銀行(中央銀行)は24日、人民元の売買の基準となる為替レート(基準値)を対米ドルで1ドル6.5302元と、発表しました。前日に比べ0.0029元の人民元安(ドル高)です。中国が昨年8月以降、人民元の切り下げを容認せざるを得なくなっていることに、不安が高まっています。中国は世界にデフレを輸出していますが、人民元が安くなると、ますます安値品の輸出攻勢をかけやすくなるからです。

人民元切り下げのニュースが伝わると、ドル円では、円高(ドル安)が進みました。不安が高まると、安全通貨として円が買われる流れは変わっていません。

人民元(対100米ドル)為替レートの推移:2015年7月1日―2016年2月24日

中国ではまだ、為替取引が自由化されていません。人民元は、対米ドルで一定範囲に収まるように、中国政府の意思によって、コントロールされています。

中国にはかつて、人民元を安く抑え込んで、輸出ドライブをかけていた時代がありました。ところが、近年は、逆に人民元の国際的な信頼を高めるために、人民元が対米ドルで下がらないように、コントロールしていました。そのうちに中国から海外への資本流出が続き、ついに人民元を高値に保てなくなったのが、昨年8月です。人民元の大幅な切り下げ(グラフが上へ大きく上昇しているところが人民元の下落を表します)を発表し、世界に不安を与えました。

中国政府は、その後、人民元の切り下げを続ける意思はないことを表明したので、人民元切り下げによる不安は一旦収束していました。ところが、今もなお、小幅の人民元切り下げを続けざるを得ないところに、不安が残っています。