10月19日 H株「オーバーウエート」、A株「オーバーウエート」
中国の戦略的重要産業、向こう10年間の急成長を予想

機械製造業は中国にとって、工業大国への成長や国際競争力の強化を目指す上で基盤となる戦略的な重要産業の一つ。「新たな新興戦略産業の開発に向けた国務院の計画」によれば、中でも焦点となるのは、航空、衛星、鉄道、オフショアエンジニアリング、スマート設備などのハイエンド型機械製造分野。BOCIはこの分野が向こう10年間に急成長を遂げ、中国の支柱産業の一つになるとみている。

個別に見ると、中国の戦略支柱産業と位置づけられている航空分野ではすでに、自国開発のリージョナル航空機「ARJ21」が試運転段階に入った。また、国内初の民用大型ヘリ「C313」の開発も順調に進んでおり、その中核を成す財産権や関連技術は航空設備製造業の強固な基盤作りを後押しする見込み。国務院は国内の一般航空セクターに対し、主要な政策支援を行う方針を明らかにしている。

また、衛星セクターは航空宇宙産業における重点部門の一つで、その用途は軍用、輸送、通信、気象観測、地図作成用など広範に及ぶ。今後の衛星需要の拡大や、「北斗」(Beidou)衛星システムの段階的な構築に伴い、中国の衛星産業はまもなく急成長期を迎える可能性が高い。

高速鉄道技術の分野では、中国はすでに世界的大手の座にある。高速鉄道の開発は投資や財政収入、雇用などの拡大を促し、地方経済の発展や農村部の都市化プロセスを加速させる要因。中国政府は「第12次5カ年計画」(2011-15年)の下、鉄道網の総延長を大幅に延ばす可能性が高く、鉄道設備製造セクターに大きなビジネスチャンスが到来する見通しとなった。

オフショアエンジニアリング設備は、深海石油掘削事業における重要な構成要素。また、オフショアの石油生産は陸上での生産量の不足を補い、中国の石油輸入依存度の軽減につながる見込み。中国はオフショア石油探査・掘削を強化する方向にあり、これが関連設備の需要を押し上げる見通し。BOCIはその結果としての技術力の向上や、世界のオフショア石油エンジニアリング市場における中国のシェア拡大を予測している。 このほか、CNC(コンピュータ数値制御)機械製造は、ハイエンド機械製造業の基盤を成す分野。消費力の向上や地域振興策を受けたインフラの改善を追い風に、国内機械産業は長期成長を遂げるとみられるが、スマート設備はこうした中で注目すべき分野の一つ。BOCIは風力発電や原子力発電、宇宙、航空産業向けのハイエンド設備需要の伸びが技術力の向上を後押しし、スマート設備の新たな成長局面をけん引するとの見通しを示している。