10月14日 H株「中立」 A株「中立」
利ざや改善で1-9月の好決算を予想、引き締め政策がリスク要因に

BOCIは中国農業銀行(01288)、中国光大銀行(上海601818)を除く本土・香港上場銀行14銘柄について、2010年1-9月期の純利益が前年同期比29.3%増の4800億元に達すると予想している。これは10年上半期の利益成長率(前年同期比30%)をわずかに下回るペース。一方、7-9月期には同平均27.3%の増益を予想し、前四半期比では0.8%の減益となる予測を示した。利ざやの改善とスケールメリットの拡大が前年同期比の利益成長を支える見通しという。

一方、国内のインフレ圧力が高まる中、中国政府は金融引き締め策を継続するとみられ、銀行セクターにマイナス影響が及ぶ可能性が出ている。各銘柄の純利益に及ぼす影響は限定的とみられるものの、BOCIは銀行銘柄の株価の重しとなる可能性を指摘。さらに中長期の成長見通しに影響する可能性に言及している。

BOCIによると、A株市場における銀行銘柄の2010年予想PER、PBR(株価純資産倍率)は現在、それぞれ12.2倍、1.82倍(ヒストリカル平均値は10.12倍、1.97倍)。市場全体のPER、PBRに対する銀行銘柄のディスカウント率は過去最大に達している。

仮に過剰流動性相場が続き、国内経済のファンダメンタルズに改善が見られない場合、政策リスクはこの先さらに拡大する可能性が高い。ただ、BOCIは出遅れ感の強い銀行銘柄には投資機会が存在するとの見方。A株、H株銀行銘柄の平均目標株価をそれぞれ4.2%、5.0%引き上げ、現在株価から9%、6%の上値余地を指摘した。

BOCIはH株銘柄の中で中国民生銀行(01988)と中国農業銀行を選好している。一方、A株銘柄ではバリュエーションの低さなどから中国民生銀行(600016)や華夏銀行(600015)、興業銀行(601166)を選好。また、4大国有商業銀行の中では、国内農村部の都市化の流れが中国農業銀行の追い風になるとの見方を示した。短期的には売却制限付きA株のロックアップ期間満了に伴う市場への流入が同行株価の重しになるとみる一方、向こう3-6カ月の値上がり余地を指摘している。