10月12日
国内石炭価格はほぼ横ばい推移、商品価格の先高感が支援材料に

中国国内では先週、石炭積み出し港・秦皇島で発電用炭価格がやや上昇し、一部地域では無煙炭およびコークス炭が相対的に大幅な値上がりを示したが、国内全体の石炭相場はほぼ横ばいに推移した。秦皇島の石炭在庫は643万トンに低下したものの、BOCIは大秦鉄道の修理点検作業の完了や発電所における在庫レベルの相対的な高さを理由に、一段の在庫減少余地は限られるとの見方。また、石炭需要に影響する要因として、需要閑散期に当たるという季節要因、省エネ機運の高まり、温室効果ガス排出削減政策、さらに大手金融機関を対象とした預金準備率の引き上げなどを指摘しながらも、短期的には商品相場の先高感が石炭銘柄の支援材料になるとみている。

秦皇島の高品位炭価格は10月11日までに前週比0.7%上昇し、1トン当たり720元に達した。また、石炭産地である大同の発電用炭坑口価格は同じく0.7%高の455元。発電用炭価格は国内の大半のエリアで安定的に推移している。

大秦鉄道の修理点検による影響で、秦皇島の在庫は10月10日時点で前週比9.2%減の643万トンに低下した。ただ、15日間にわたる点検作業は4日に終了し、1日当たり処理能力はすでに平常時の60万トンレベルを回復した。また、8日現在、主要発電所の石炭在庫日数は21日と、過去平均の15日を上回る水準。BOCIは石炭需要の閑散期に当たることや、電力会社に石炭調達を増やす動きが見られないことなどを指摘し、秦皇島の在庫が短期的に600万トン強の水準を維持するとみている。

一方、最新の関連指標をみると、BDI(バルチック海運指数)は8日時点で前週比10%上昇。国内沿岸石炭運賃指数は2週連続で横ばい推移した。NEWCインデックス(豪ニューキャッスル港出し石炭価格)は同0.4%安の1トン当たり95.0米ドル。ブレント原油先物は9月27日比で6.3%高の1バレル当たり84.0米ドル。石炭はバルク商品の一つだが、相場動向が実体経済と連動しやすく、今のところは米ドル安を背景に大幅な価格上昇傾向はみられない。

また、国内の鋼材価格は先週、前週比1.4%高。鋼材在庫は3週連続で上向き、この間に累計6.8%上昇した。

BOCIは今冬が厳しい寒さとなるかどうかは分からないとしながらも、仮に厳冬となった場合、コークス炭生産者より発電用炭生産者に大きな恩恵が及ぶとみている。

また、中国政府は現在、電気料金値上げを検討中。仮にエンドユーザー向け料金の引き上げが行われた場合、発電用炭契約価格をめぐる電力各社との次の交渉で、石炭生産者側の値上げ余地が高まる見通し。BOCIは資源のひっ迫感や価格の柔軟性などの面から、コークス炭およびPCI用炭生産者を有望視している。