ガス事業の成長に期待感、利益率の低下が懸念材料に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00392 北京控股(北京エンタープライジズ)  56.65 HKD
(10/06現在)
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BOCIは北京控股傘下の北京ガスの2009-12年ガス販売量が年平均20%のペースで拡大すると予想。中国政府が2015年までにエネルギー消費に占める天然ガスの比率を2倍以上に引き上げることを目指している点を背景にガス事業の成長に期待している。特に、石炭からガスへ燃料の移行を図る発電所向けの需要が伸びる見通しだ。

ガスパイプラインのペトロチャイナ北京パイプライン(PBP)は、2011年上期に第3陝京パイプライン(陝西-北京)が稼働することで供給量を150億立方メートル追加し、総供給量が350億立方メートルに拡大する。第4パイプラインの調査が現在進行中で、2013年の稼働時にはさらに100-120億立方メートルが追加される見通し。

法人・公共利用のガス料金値上げが先ごろ北京市当局に認可された。これにより10年1月1日にさかのぼり、用途に応じて10%超の値上げが適用される。一般世帯向けの価格は据え置かれている。

一方、北京燕京ビール(000729)の主要4ブランドの2010年上期販売量は前年同期比7%増の225万トンで、全販売量の92%を占めた。BOCIは通年の販売量が前年比12%増の520万トンに達すると予想。特に利益率の高いプレミアムブランドは35%増の見通しで、今後の貢献が期待される。同社は国内で12%のシェアを持つ大手ブランド。北京でのシェアは85%を超え、他地域でもシェアを伸ばしている。

水処理の北控水務集団(BEW、00371)の2010年上期は、BT(建設・譲渡)プロジェクトサービス部門の収入が12倍と業績に貢献。ただ、同事業の粗利益率は5%と水処理サービス事業の同61%に比べて低く、BTプロジェクトに依存した成長モデルはリスクが高い。同事業は一定期間に多大な資金を費やすため、10年6月時点の負債比率は1.28倍と2009年12月末の0.58倍から急上昇した。資金回収リスクも懸念される。

北京控股の2010年6月中間決算は売上高が31%増、売上原価は34%増。粗利益率は2ポイント低下の23.3%だった。利幅の薄い水処理事業のBTプロジェクト増加だけでなく、ガス事業も低利益率の発電所向けの供給が増えて粗利益が削られた。ガス料金の値上げを考慮しても今後の利益率成長は鈍化が見込まれ、売上高の伸びに利益成長が伴わない状況が予想される。2010年上期の一般管理費の上昇率は組織改変やBEWの新規プロジェクトコストにより増収率を上回った。コスト管理の徹底が今後の業績の鍵を握るとみられる。

BOCIは、北京控股の目標株価を61.00HKドルに引き上げた。都市ガス事業が予想を上回る力強い伸びを示していることが理由。ただ、バリュエーションは十分に反映されているとの見方から、投資判断は中立の見方に据え置いている。2010-11年予想PERは22.8倍、18.9倍の水準。2011年予想PBRは1.59倍。2010-12年予想EPS伸び率は23%、20%、18%と予想している。