9月27日 A株「中立」
鉄鋼業界への省エネ規制の影響

中国政府は「第11次5カ年計画」(2006-10年)で掲げる省エネ・温室効果ガス排出削減目標を達成するため、8月後半から9月初めにかけて河北省や江蘇省、浙江省などでエネルギー消費量の多い企業を対象に減産や電力供給制限といった措置を講じた。こうした措置は徐々に国内各地に広がっている。鉄鋼セクターは国内エネルギー消費の6分の1を占めており、規制強化の影響は避けられない状況。政府の対応は予想以上に厳しく、9月初めから年末にかけて生産量の減少や鋼材価格の上昇といった影響が生じる可能性が高い。今後の鋼材価格上昇を加味すれば、鉄鋼銘柄のバリュエーションは比較的低い水準にあり、BOCIは個別銘柄の上値余地を指摘。特に原料の鉄鉱石を確保している企業や条鋼製品を扱う中小企業を推奨する。これらの要因を踏まえ、BOCIは鉄鋼銘柄(A株)の株価先行きを中立の見方に据え置いている。

ポイント

「第11次5カ年計画」の省エネ・排出削減目標を完全達成するためには、中国は2010年の国内エネルギー消費量(GDP単位当たり)を前年比5.2%減に抑えなくてはならない。しかし10年上期の消費量は前年同期比0.09%増であり、目標達成には相当の努力が強いられる。

8月後半から9月初めにかけて実施された対策強化により、規制は全国レベルに広がった。特に河北省、江蘇省、および浙江省で厳しい措置が導入されている。

地域別にみると、河北省における減産指示や電力消費量規制が最も厳しく、これにより同省の9月の粗鋼生産量は過去の月間平均を24-27%下回るとBOCIは予想している。9月の粗鋼生産量は同10%減少し、減産幅は505万-560万トンに達する見通し。

製品別では条鋼製品への影響が大きく、9月の生産量は月間平均をおよそ20%下回ると予想される。

一連の規制強化で鉄筋およびその他の条鋼製品の価格が8月以降高騰しており、今後も上昇傾向が続くとみられる。

主要リスク

来年初めに規制が撤廃されれば生産量は急激に回復し、これに伴い鋼材価格も下落する可能性が指摘される。