11月30日の日経平均は136円安の19,747円でした。日経平均は目先、上値の重い展開となりそうです。下がったところは、日本株の買い場と判断しています。

今日は、読者の皆様からご質問が多い「ドル円為替レートの見通し」について、今日と明日の2日間にわたり、書きます。今日は、過去3年の為替変動要因を振り返ります。

(1)現状の認識

2013年から2015年にかけて大幅な円安(ドル高)が進みましたが、その最大の原動力は、日米金融政策の方向性の差です。

  • 米国の金融政策(金融緩和からの出口を模索)
    米国FRB(中央銀行)は、2014年1月から、量的金融緩和の縮小を始めました。2014年10月には量的緩和を終了しました。近く、利上げを実施する見込みです。実質ゼロ%のFF金利誘導水準を0.25%引き上げることが予想されます。
  • 日本の金融政策(金融緩和を強化中)
    日銀は、2013年4月から異次元金融緩和を実施しました。さらに2014年10月には、大規模な追加緩和(黒田バズーカ)を実施しました。今後さらに追加緩和が必要になるとの声も、根強く残っています。

ドル円為替レートの推移:2012年11月1日~2015年11月30日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

過去3年で、円安(ドル高)が急速に進んだ局面は、2回あります。上のチャートの①と②です。

  • 2012年11月~2013年4月 大規模金融緩和実施への期待で円安急進
    アベノミクスによる円安開始は、2012年11月です。2012年11月時点ではまだ民主党政権が続いていました。ところが、当時の野田首相が解散総選挙を実施することを表明してから、自民党が選挙で勝って安倍政権がスタートすることが明らかでしたので、市場は、当時の安倍自民党総裁の発言に反応して動くようになりました。この時、安倍自民党総裁は、大規模金融緩和の実施を明言していたことから、2012年11月から、円安が急進しました。日銀の黒田新総裁の元で、実際に異次元金融監査が実施されたのは、2013年4月でした。ただし、この時までに、既に大幅な円安が進行しており、緩和実施は織り込み済みでした。緩和実施後は、しばらく円安が進まなくなりました。
  • 2014年9月~11月 米金融緩和終了と、黒田バズーカ砲で円安急進
    2014年10月に米FRBが量的金融緩和を終了しました。ただし、それは事前にわかっていましたので、9月くらいから、円安(ドル高)が進み始めました。さらに、2014年10月末に、バズーカ砲と呼ばれる、日銀黒田総裁による大規模追加金融緩和が実施されました。これで、円安が加速しました。

(2)今後の見通し

日米の金融政策の方向性の違いは今も変わっていません。アメリカは利上げが見込まれ、日本は追加緩和観測が残っています。この状態が変わらない限り、どこまでも円安が続くとの見方もあります。1ドル130円を超える円安が進むとの見方もあります。ただ、私は、やや異なる考えを持っています。明日、私の考えについて、書きます。