9月7日 A株「中立」
主要都市部で物件取引回復、締め付け政策下で価格上昇は当面見込めず

中国の主要都市部では先週、不動産取引が力強い伸びを示し、平均価格指標も小幅の上昇傾向を示した。政策環境がやや安定する中、8月には万科企業(200002)など、ブランド力の強いデベロッパー大手の販売成績が年初からの月別最高を記録した。BOCIは本土不動産セクター全体に対して中立的な見方を示しながらも、ピークシーズンの販売好調が予想される個別の銘柄に注目している。

国内の主要17都市の不動産取引面積は先週(9月5日まで)、前週比6.5%増の310万4000平米に達した。うち12都市で取引規模の増加傾向が見られた。中でも大都市部の先週の取引面積は年初からの平均を49.0%上回る水準。平均価格も再び上向きに転じ、福建省福州市、広東省深セン市で最大の伸びを記録した。

この間に動きを見せた不動産関連政策は以下の通り。【1】中国保険監督管理委員会が「保険会社の不動産投資」に関するガイドラインを発表した、【2】政府当局が不動産過熱抑制策を持続し、上海市や浙江省では新築予約分譲に関する標準化規定を整えた、【3】土地計画概要に関するリサーチが行われた、【4】北京金融街(BFS)が1.41平方キロメートルに拡大される運びとなった――。

一方、不動産銘柄の2010年6月中間決算が先週までに出そろい、各社のキャッシュフローの悪化や負債比率の上昇傾向が鮮明となった。ただ、上海上場の万科企業や香港上場の碧桂園控股(02007)などの販売成績は、8月に年初からの月別で最高に達した。

BOCIは来年の新築物件の供給過剰傾向を予想し、向こう1年間、物件相場の大幅な上昇には期待しにくいと見ている。また、仮に今後2カ月間のピークシーズンに物件相場が再び上昇した場合、中国政府が過熱抑制策を強化する可能性を指摘した。ただ、主要都市部でのデベロッパー大手の販売好調が、短期的な株価押し上げ要因になるとの見方。販売成績が同業平均を上回った銘柄として、上海上場の万科企業や金地集団、深セン上場の華僑城、浜江集団などを挙げている。