16日の日経平均は前日比▲203円の19,393円でした。先週末に起こったパリの同時テロや、16日朝に発表された日本の7-9月期GDPがマイナスだったことを嫌気して、一時▲344円の19,252円まで下げましたが、その後持ち直し、下げ幅を縮小して引けました。
16日の欧米株式は、パリのテロを受けて朝方下がりましたが、引けにかけて反発しました。フランス株(CAC40)は前日比▲0.07%と小幅マイナスでしたが、ドイツ株(DAX)は+0.04%、イギリス株(FTSE)は+0.45%でした。NYダウは237ドル高(+1.4%)と反発しました。これを受けて、CME日経平均先物は、19,685円まで上昇しています。
(1)4-6月・7-9月のGDPは連続でマイナス
7-9月GDPは前期比年率▲0.8%と、4-6月(同▲1.2%)に続いてマイナスでした。ただし、在庫減少がGDPを押し下げた影響が大きく、在庫減少がなければ、前期比年率+1.2%とプラス成長でした。在庫調整が進んだことは、10月以降の景気にプラスです。GDPの数字に表れているほど、景気実態は悪くないといえます。
日本の実質GDP成長率(季節調整済:前期比年率)推移:2012年1-3月期~2015年7-9月期
2四半期(6ヶ月)連続でGDPがマイナス成長となると、欧米では景気後退と判断されます。2014年(4-9月)、2015年(4-9月)は、2年続けて「ミニ景気後退」と判断される可能性があります。
楽天証券経済研究所では、民主党時代の2012年4―12月、安倍政権下で消費増税を実施した後の2014年4-9月は、ミニ景気後退期に該当すると判断しています。ただし、2015年4-9月については、景気後退といえるほど景気実態が悪くなったとは考えていません。2四半期連続でマイナス成長とは言え、①マイナス幅は小さく、②7-9月は在庫減少の影響を除くとプラス成長であったからです。
(2)7-9月のGDPは、在庫減少が足を引っ張ったものの実態は悪くない
2015年7-9月期の実質GDPは、前期(4-6月)比▲0.2%でした。年率換算では▲0.8%でした【注】。
【注】年率と非年率の違い
7-9月のGDPは、4-6月対比で0.2%減少しています(非年率)。3ヶ月で0.2%減少するということは、同じペースで1年間減少が続くと、1年間では0.2%×4=0.8%減少することになります。したがって、4-6月のGDP成長率は、前期比(非年率)▲0.2%、または、前期比(年率)▲0.8%と表現されます。
7-9月のGDP成長率の内訳を、非年率で分解すると、以下の通りです。
2015年7-9月期GDP成長率の内訳(非年率ベース)
まず内需と外需の内訳をご覧ください。内需が▲0.3%とマイナスでしたが、外需は+0.1%とプラスでした。外需は、輸出増加が0.5%プラス貢献しましたが、輸入増加が▲0.4%とマイナスであったため、差し引き0.1%の成長押し上げ要因となりました。
内需は、消費(+0.3%)・住宅投資(+0.1%)がプラスでしたが、設備投資(▲0.2%)、在庫投資(▲0.5%)がマイナスでした。在庫減少(▲0.5%)の影響が大きかったといえます。もし在庫が減少していない(±0%)ならば、7-9月のGDPは、非年率で0.3%のプラスであったこととなります。年率に換算すると、1.2%のプラス成長だったことになります。
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