9月中間決算の発表も最終局面です。昨日も、多数の建設株が、中間決算を発表すると同時に、通期(2016年3月期)の業績予想を大幅に上方修正しました。改めて、建設・土木業界の利益モメンタムの強さが確認されつつあります。

(1)ポジティブ・サプライズの多い建設・土木株

 
 

昨日15時以降に9月中間決算と同時に通期経常利益見通しの上方修正を発表した建設・土木株

(金額単位:億円)

コード 銘柄名 2015年3月期
実績
2016年3月期
期初予想
2016年3月期
今回予想
前年比
1808 長谷工コーポレーション 419 540 640 +53%
1861 熊谷組 157 115 165 +5%
1821 三井住友建設 120 100 140 +17%
1885 東亜建設工業 53 46 92 +73%
1866 北野建設 52 16 27 ▲49%
  5社合計 801 817 1,064 -
  5社合計前年比   +2% +33% -

(出所:各社資料より楽天証券経済研究所が作成)

完成工事総利益率が予想以上に改善したことが、業績予想を上方修正した主因です。建設・土木セクターは、2020年まで東北復興・リニア新幹線工事・東京再開発・オリンピック準備・国土強靭化など、仕事は山積みです。利益率の改善が続くことを前提に考えると、今期だけでなく、来期にも利益は大きく伸びることが予想されます。

(2)再びPERで見て割安になってきた建設株

業績の上方修正によって、中間決算発表後に、建設株のPER(株価収益率)は低下しています。建設株は、テーマ株としてPERが高水準まで買われていたものが、業績予想の上方修正によって、再び割安株としての魅力も復活しています。割安でかつ、2020年ころまで増益トレンドが期待できる内需成長株として注目したいと思います。

 
コード 銘柄名 11月11日
株価:円
業績修正前 の
PER:倍
業績修正後 の
PER:倍
1808 長谷工コーポレーション 1,287 11 9
1861 熊谷組 360 17 13
1821 三井住友建設 121 16 11
1885 東亜建設工業 299 28 11
1866 北野建設 331 21 13

(出所:各社発表資料から楽天証券経済研究所が作成)

(3)旭化成建材の問題はリスク要因として残る

は、旭化成建材をくい打ち工事の下請けとして使用してきたので、今後、旭化成建材の偽装工事の調査が進むにつれて、追加で損失がふくらむ可能性が残っています。ただし、同社は、「旭化成建材の影響でどれだけ影響を受けるか合理的に見積もることができないので、今回の業績予想には織り込んでいない」としています。先行き、損失額が確定すれば、その時点で、業績が下方修正されるリスクは残ります。三井住友建設(1821)