世界的な「リスク・オフ」局面は終了しつつあると思います。日経平均は「売られ過ぎ」と判断しており、今週も反発が続くと予想しています。23日のCME日経平均先物は、19,140円まで上昇しており、今週の日経平均は19,000円台を回復すると予想しています。

(1)世界的に株は反発局面を迎えている

欧米株式が反発色を強め、つれてアジアなど新興国株も反発しつつあります。先週末、NYダウは、3ヶ月ぶりの高値を回復し、8月以降の下げ幅の概ね8割以上を取り戻しました。

NYダウ週足:2014年1月4日~2015年10月23日

日経平均も、同様に反発しつつあります。まだ戻りが鈍いですが、今後、反発色が徐々に強まると見ています。

日経平均週足:2014年1月4日~2015年10月23日

(2)世界的な金融緩和が続くとの期待が株の反発につながっている

NYダウが反発色を強めている背景は5つあります。

  • 中国人民銀行が23日、追加金融緩和を実施。
  • 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が22日、追加緩和実施を示唆。
  • 日銀が10月30日の金融政策決定会合で、追加緩和を実施するとの思惑が出ている。
  • 10月27・28日の米FOMC(金融政策決定会合)では利上げ見送りの予想が大勢。
  • 発表中の米国企業の7-9月期決算が堅調であること。

上記の①から⑤までが、世界の金融政策にかかわることです。まとめると、米利上げ観測が遠のく中で、日中欧で追加緩和期待が高まっていることが、世界的な株高の背景にあります。

(3)中国政府は景気てこ入れに本腰を入れるか?

中国経済は構造問題をかかえ、長期的に低迷するリスクもあります。ただ、政策によって景気を下支えする余力は、中国政府に残っています。景況悪化が続くと社会不安が発生し、共産党政権への不満につながるので、中国政府には常に景気刺激策を取る誘引があります。

ところが、これまでに実施した公共投資が経済の効率を悪化させ、いわゆるバブル投資を生んできた現状を踏まえ、単純に公共投資を積み増すことにためらいがあるのは事実です。そうした中で、先週は、中国人民銀行が追加の金融緩和を実施しました。

まだ金利水準の高い中国では、基準金利を引き下げる金融政策も景気刺激に一定の効果を発揮します。日米欧のように金利水準が低くなり過ぎると金融政策による景気押し上げ効果は限定的ですが、中国はまだ金融政策でも景気を刺激する余地が残っています。

中国人民銀行は23日、貸し出しや預金の基準金利を1年物で0.25%引き下げました。これで貸し出しの基準金利は4.35%、預金の基準金利は1.5%となりました。同時に預金準備率も引き下げ、景気のてこ入れを目指します。

中国共産党は10月26日から29日まで、経済運営の5カ年計画を討議する党中央委員会第5回全体会議(5中全会)を開きます。そこで、景気刺激策について、どのような議論が行われるか注目されます。