13日の日経平均は203円安の18,234円でした。前日(12日)のNY市場でWTI原油先物が1バレル当たり前日比▲2.5ドルの47.1ドルと反落したこと、13日に発表された中国の経済指標がやや弱かったことから、最近、反発基調を強めていた資源関連株が反落しました。なお、13日のWTI原油先物は、前日比0.44ドル安の46.66ドルでした。CME日経平均先物は18,095円まで下がっています。

(1)資源安は日本経済にメリットだが、今の資源安はやや行き過ぎ

下がっているのは原油だけではありません。天然ガス・石炭・鉄鉱石・銅・ニッケル・白金・レアメタルなど、天然資源が全面安になっています。本来、輸入資源に依存している日本経済には強い追い風になるはずです。ただし、今は、資源安メリットが表れるのが遅れる中で、逆資源安ショックが日本経済に及ぼす悪影響を警戒しなければならない段階です。

CRB指数の動きを見ると、資源が全面安になり、歴史的安値圏にある状況が見て取れます。CRB指数はロイター社が提供している商品(コモディティ)価格の指数で、原油・ガソリン・天然ガス・トウモロコシ・大豆・金・銅・アルミニウムなどから構成されます。

CRB指数の推移:2005年1月~2015年10月13日

(出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成)

上のグラフを見ればわかる通り、世界人口が増える中で、供給に制約のあった天然資源価格が全面高となったのは2008年前半まででした。2008年9月にリーマンショックが起こり世界需要の伸びが鈍ると、CRB指数は急落しました。2009年から2011年までは世界景気回復にともなってCRB指数は反発しましたが、その後は、世界的な資源供給の増加によって再び下落しました。2015年には、需要鈍化と供給増加が続く中で、CRB指数は急落し、リーマンショック後の安値を下回っています。

(2)日本経済への影響が特に大きいのは、原油の変動

昨年1バレル100ドルを越えていたニューヨークのWTI原油先物は、足元50ドル割れまで下がっています。9月以降、反発していますが、10月12日は反落しました。

WTI原油先物(期近)の推移:2015年6月1日~10月12日

(出所:ブルームバーグ)

短期的には、原油が上昇した方が、日本株の上昇に寄与します。原油が反発すると、日本株に以下の3つのメリットがあります。

  • 産油国による日本株の換金売りが減少すると予想される。
  • 資源国や資源関連産業の景況悪化に歯止めがかかる。
  • 日本および世界経済のデフレ懸念がやわらぐ。

(3)中東産油国の増産圧力が残るが、米シェールオイル生産は減少に向かう

原油価格の下落を受けて、アメリカのシェールオイルの新規開発が大幅に減少しています。これを受けて、2016年にかけてシェールオイルの生産は減少していく見通しです。ただし、中東産油国の増産圧力が残っていることには注意が必要です。イランへの米経済制裁が解除され、イランの国際社会復帰が実現すれば、イラン産原油の供給も増えるでしょう。

これからの原油価格動向の鍵を握るのは、以下3点です。

  • シェールオイルの生産減少はどこまで進むか?
  • 中東産油国の増産圧力がいつまで続くか?
  • 世界需要の伸び鈍化はどこまで進むか?

現時点で、原油価格の先行きは不透明といわざるを得ませんが、来年にかけてシェールオイルの生産減少が予想以上に大きくなれば、原油価格の反発につながる可能性はあります。