5日の日経平均は、280円高の18,005円でした。9月の米雇用統計が弱かったことを受けて年内の米利上げ観測が後退したこと、4日の閣僚会合でTPPが大筋合意と報じられたことなどが、好感されました。世界的な行き過ぎたリスク・オフが、修正され始めていると考えています。5日のCME日経平均先物は18,360円まで上昇しており、今日の日経平均も続伸が見込まれます。
(1)日経平均・NYダウとも一旦底打ち
世界中の株式市場は、連動する傾向が高まっています。その中心に、NYダウがあります。日経平均とNYダウは、投げ売り局面が終了し、一旦底打ちしつつあります。ローソク足で、底打ちのシグナルとなることが多い「長い下ヒゲ」を出してから、反発しつつあることが、日経平均・NYダウに共通です。
日経平均週足:2015年1月4日―10月5日
NYダウ週足:2015年1月3日―10月2日
(2)TPP大筋合意は、ポジティブ・サプライズ
TPP合意に向けて残された時間は少なく、合意は難しいという空気も出ていましたが、各国が歩み寄って、大筋合意に持っていけたことは、日本株にとっても世界の株式市場にとってもプラスです。
TPP大筋合意は日本株にとって、以下の2点において好材料です。
- 貿易立国である日本経済に追い風
製造業(特に自動車産業)が強く輸出競争力の高い日本にとって、重要な貿易相手国である米国を含む環太平洋の11ヶ国と自由貿易協定を一気に結べることは、経済上のメリットが大きい。
(注)TPP参加国:現在の参加予定国は、米国・カナダ・メキシコ・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイ・ペルー・チリの11ヶ国。日本が加盟申請中。日本の加盟が認められれば、12ヶ国になる。
- 日米主導で世界経済のルール作りを進める枠組みができる
TPPは、日米主導となる可能性が高くなっている。中国はTPPに参加せずに、中国主導でルール作りができる経済圏を作ることを目指している。中国は、まだ資本主義のルールが徹底していないので、中国主導の経済圏が拡大すると日本は苦労する。一部には、日中韓FTA(自由貿易協定)の締結を急ぐべきという声もあったが、日中韓FTAは、中国が主導することになる可能性もあり、日本の主張を通すのが難しいかもしれない。TPP交渉で米国と交渉する方が、日本にとっては、相対的に楽である。
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