今週の日経平均は、18,000円に向けて上昇する可能性があります。ただし、18,000円台に乗れば、再び上値が重くなるでしょう。10月2日に発表された9月の米雇用統計が予想以上に弱かったため、米FRBが年内に利上げするのは難しいとの見方が広がりました。アメリカが年内利上げ方針であることが、世界の株式市場にとって、警戒材料となっていましたので、米利上げ観測が弱まったことを、好感する流れになりそうです。

(1)9月の米雇用統計はネガティブ・サプライズ

米国の景気動向をよく表す指標として注目の高い「非農業者部門の雇用者増加数」が予想以上に弱く、サプライズ(驚き)となりました。9月は、前月比142千人増と、市場予想の201千人増を大幅に下回りました。景気好調の目安となる20万人増(グラフで赤の線で示している水準も大きく下回りました。

米国の非農業者部門の雇用者増加数(前月比):2013年1月―2015年9月

非農業部門の雇用者増加数:2015年7月・8月・9月

(出所:米労働省)

2015年7月・8月の雇用者増加数は、前月発表の数値から、下方修正されました。7月は、一改定値245千人増から確定値223千人増に下方修正されました。7月は20万人増を上回っていますから、まだ好調と判断されます。

8月の速報値173千人増は、今回、136千人増に下方修正されました。速報値の173千人増は20万人増を下回っていてネガティブでしたが、改定値で上方修正される可能性もあるとして、材料視されませんでした。今回、8月の増加数が下方修正され、9月の増加数も低く、2か月続けて20万人を下回る低い伸びとなったため、米景気好調に疑問符がつく内容となりました。

さすがに米景気にも、中国および新興国の減速と、ドル高の悪影響が及んできた可能性があります。

10月2日の、雇用統計発表後のNYダウは、複雑な動きとなりました。発表直後は、数字が弱いことから、米景気減速を懸念した売りで、一時前日比▲258ドルと下がりました。その後、年内の利上げがなくなるとの期待が広がり、NYダウはプラスに転じ、大引けは+200ドルの、16,472ドルとなりました。

米国の完全失業率:2013年1月―2015年9月

(出所:米労働省)

9月の失業率は5.1%と8月と同水準です。失業率の下降トレンドは続いています。失業率は、長期の雇用情勢を示します。非農業部門の雇用者増加数は、短期的な景況変化をタイムリーに表します。失業率を見る限り、長期的な雇用改善トレンドは、崩れていないようです。ただし、中国景気の減速や、ドル高の影響を受けて、短期的な景況は弱含んでいると判断されます。

この結果を受けて、10月の利上げはないとの見方が広がりました。12月も利上げする環境は整わないとの見方も、広がっています。

(2)次の注目は、日本の景気・企業業績

これから発表が始まる、7-9月のGDPや7-9月の企業業績に注目が集まっています。発表前は、日経平均は大きくは上昇しにくいムードが続くと思います。