16日の日経平均は、106円高の18,133円でした。PERの低い輸出株が大きく上昇する一方、PERが高い内需株には値下がりが多くなりました。世界景気に対する過度な悲観の修正が始まる兆しと考えています。

(1) 16日は低PER株が買われる

東証33業種、上昇率上位5業種:9月16日

  業種名 上昇率
ゴム製品(タイヤなど) +3.5%
輸送用機器(自動車など) +2.9%
空運 +2.8%
機械 +2.3%
電気機器 +2.2%

東証33業種、下落率上位5業種:9月16日

  業種名 下落率
電気・ガス業 ▲2.9%
その他製品 ▲2.1%
紙パルプ ▲1.8%
小売り ▲1.6%
医薬品 ▲0.8%

世界景気に不安があったので、これまで輸出株(自動車・ゴム・電機・機械)はPERで見て割安であっても、投資を避けられてきました。16日は、そういう割安な輸出株が買われました。内需株(小売り・サービス・食品・医薬品など)は、これまで消去法的に物色されてきたため、PERで見て割高な株が増えています。16日は割高な内需株は売られました。

(2)世界景気に対する悲観はやや行き過ぎでないか

中国景気の悪化は世界景気に悪影響を及ぼしますが、米国景気が堅調である以上、世界的な景気後退に至る可能性は低いと考えています。新興国の不振が鮮明ですが、日米欧先進国は、資源価格急落の恩恵を受けて、景気回復が続くと予想しています。

世界景気への過度な悲観が修正される局面では、景気敏感株が買われます。私は、その時期が近づいていると予想しています。

過去の例では、リーマンショック後の2009年1-3月、世界景気の悪化が続く中、景気敏感株が上昇を始めたことがありました。

リーマンショック後の日経平均の動き:2008年8月~2009年7月

(注:楽天証券経済研究所が作成)

(3)PERの低い投資の参考銘柄

以下の条件により、楽天証券スーパースクリーナーで、投資の参考銘柄を抽出しました。

  • 時価総額3000億円以上
  • 連結予想PER15倍以下
  • アナリスト・レーティングの平均値が4.3以上
  • 最低投資金額が20万円以下

アナリスト・レーティングが高い、PERが低い株

コード 銘柄名 レーティング【注】 PER:倍 配当利回り PBR:倍
8306 三菱UFJ FG 4.8 11 2.4% 0.7
8750 第一生命保険 4.7 15 1.8% 0.7
1928 積水ハウス 4.6 13 3.0% 1.2
7261 マツダ 4.5 8 1.6% 1.3
8591 オリックス 4.5 8 2.8% 1.0
5802 住友電気工業 4.3 15 2.1% 0.9

【注】レーティング: 証券各社の担当アナリストの推奨レーティングの平均値。強気は5点、やや強気は4点、中立は3点、やや弱気は2点、弱気は1点として、アナリスト推奨を点数化し、加重平均したもの。

(4)分散投資は大切

今のタイミングでは、割安で投資魅力の高い銘柄はたくさんあります。1つの銘柄に集中投資すべきでありません。1つの銘柄に集中投資すると、その銘柄の業績が予想外に悪化した時のダメージが大きくなります。多数の魅力的な銘柄に分散投資するべきです。

前掲の投資の参考銘柄は、最低投資金額が20万円以下のものから選びました。

前掲の投資参考銘柄の最低投資金額:9月16日時点

(単位:円)

コード 銘柄名 16日株価 最低投資金額
8306 三菱UFJ FG 761.5 76,150
8750 第一生命保険 1978.0 197,800
1928 積水ハウス 1832.0 183,200
7261 マツダ 1933.5 193,350
8591 オリックス 1594.0 159,400
5802 住友電気工業 1698.5 169,850

100万円投資する場合、5銘柄以上に分散投資した方がいいと思います。投資資金が小さく、分散投資ができない場合は、日経平均インデックス・ファンドや、日経平均連動ETFに投資するのも良いと思います。