先週の日経平均は、1週間で472円上昇し、18,264円となりました。先物主導の急騰・急落が続いており、毎日の日経平均変動幅が大きい不安定な相場が続いています。

今週の日経平均は、徐々に反発機運を高めていくと予想しています。理由は以下4点。①先物を使った売り崩しは今後減少に向かうと予想されること、②アメリカ利上げの可能性が不安材料となっているが、今週(9月17・18日)のFOMC(金融政策決定会合)では利上げが見送られると予想されること、③日本の景気・企業業績のゆるやかな回復が続くと考えていること、④日経平均は予想PERで14倍台まで売られており割安と考えられること。

(1) 日経平均の乱高下が継続

9月9日に日経平均は前日比1,353円高と、21年ぶりの上昇幅を記録しました。これで下値は売りにくくなると思われましたが、10日の日経平均が471円安となり、まだ先物主導の波乱は続いています。米景気好調を示す指標の発表で、米利上げが近づいていると考えられていることが、10日の日経平均下落の原因となりました。

日経平均週足と売買高:2014年1月4日~2015年9月11日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

日経平均週足に、まだ、底入れ感はありません。13週移動平均線(青い線)が、26週移動平均線(赤い線)のを上から下へ抜けるデッドクロスが出かかっており、調整が長引く気配もあります。

(2)先物主導の売り崩しが、今後減少すると予想する理由

それでも、以下の理由から、先物を使った売り崩しは減少に向かい、日経平均は徐々に底打ち感が出てくると予想しています。

日経平均と裁定買い残高:2013年1月4日―2015年9月11日
裁定買い残高は9月4日まで

(出所:裁定買い残高は東京証券取引所)

外国人投資家による投機的な日経平均先物の買い建て玉の整理(売り埋め)は、かなり進んだと考えられます。投機的な先物買いが増えると増加する裁定買い残高が、大きく減少しているからです。

裁定買い残高は、アベノミクス開始時点で2.3兆円でしたが、その後、主に外国人投資家による先物買い増加にともなって一時4兆円超まで増加しました。ところが、2015年8月から外国人投資家による先物売りが増えると、裁定解消売りを誘発し、裁定買い残高は9月4日時点で1.8兆円まで減少しています。

投機的な先物買い建てがかなり減少したので、今後は、外国人投資家による強引な先物売りは減少していくと予想されます。

外国人投資家による日本株現物および日経平均先物の売買差額:8月10日―9月4日

(単位:億円)

  8月10-14日 8月17-21日 8月24-28日 8月31-9月4日 合 計
株式現物 ▲ 2,987 ▲ 3,896 ▲ 7,264 ▲ 4,728 ▲ 18,875
日経平均先物 ▲ 2,710 ▲ 5,174 ▲ 7,633 3,760 ▲ 11,757
合 計 ▲ 5,697 ▲ 9,070 ▲ 14,897 ▲ 968 ▲ 30,632
株価指数 8月10-14日 8月17-21日 8月24-28日 8月31-9月4日 合 計
日経平均 ▲205円 ▲1,083円 ▲299円 ▲1,344円 ▲2,931円

(出所:日本取引所グループ、▲は売り越し、日経平均下落を示す)

外国人投資家が、8月10日-9月4日にかけて現物・先物合わせて3兆632億円も日本株を売り越したことが、日経平均が同期間に2,931円下落した要因です。9月の米利上げが見送られ、世界景気への過度な悲観が修正されれば、外国人投資家による、日本株への強引な売りも減少に向かうと考えられます。

  • 裁定買い残高が、9月4日時点で1兆8,476億円まで減少
  • 外国人投資家の売り越しはそろそろ減少に向かうと予想