10年4-6月期決算は前四半期比10%増益、取引ベースの事業モデルを拡充

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01688 阿里巴巴(アリババ) 15.46 HKD
(08/11現在)
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電子商取引大手アリババが発表した2010年4-6月期決算は、純利益が前年同期比46%増、前四半期比10%増の3億6300万元と、BOCI予想および市場コンセンサスにほぼ即した水準だった。売上高は前年同期比49%増、前四半期比12%増の13億6600万元。優良会員企業の「ゴールドサプライヤー」の純増数が前四半期比で12%増(5116件)、国内サイト「チャイナ・トラストパス」の会員純増数が同28%増(5万2821件)とそれぞれ前四半期比でプラスとなり、増収の要因となった。粗利益率は1-3月期の84.1%から83.4%に微減。インターネット・サービス・プロバイダー「中国万網(HiChina)」の統合と、低額パッケージ「チャイナ・トラストパス」のサービス開始が影響した。

アリババによると、10年上期の付加価値サービス(VAS)収入は「ゴールドサプライヤー」収益の25%、「チャイナ・トラストパス」収益の20%を占め、2009年の10%台半ばから大幅な改善を示した。一方、10年4-6月期のARPC(加入者1人当たりの平均売上高)は、主要3サービス全てにおいて前四半期を上回った。国内サイトのARPCは今後3000元の水準で推移するとみられるが、VASが主要な収入源であるゴールドサプライヤーのARPCは増加傾向にある。グローバル・ゴールドサプライヤーの純増数は落ち込んでいるものの、販売価格の上昇により売上高は前四半期比で16%、前年同期比で52%増えている。

同社は先ごろ、中小企業向け卸売サイト「全球速売通(AliExpress)」において500米ドル以下の小口注文を扱う中小商社向けの取引サイトを開設した。同サービスは「ゴールドサプライヤー」のような契約ベースではなく取引ベースで課金。初期投資費用を抑えたい中小企業を取り込む。同社はまた、「全球速売通」のサービス拡充に向け、米イーベイやアマゾンなど大手Eコマース市場へのアクセスを容易にするプラットフォームを提供する米ベンディオ・サービシズを買収。同社はさらに、「全球速売通」の取り扱い製品数が業界最大に成長したと言及。Alexaによると、「全球速売通」の1日当たりのトラフィック数シェアは半年間で倍増し、競合のDHgate.comに一気に追いついた。「Alibaba.com」、「1688.com」を通じたアクセスも見込まれ、提供サイト間のシナジー効果拡大も期待される。

アリババは「全球速売通」を通じて取引ベースの事業に進出し、契約ベースのみに頼った事業モデルからの脱却を図っている。これにより成長著しい国内電子商取引市場の勢いに乗ることができるとBOCIは評価しているが、同社経営陣は「全球速売通」の利益貢献が向こう12カ月間に急速に高まることはないと指摘しているため、今後の展開を注視。予想利益を据え置き、株価の先行きを中立の見方に維持している。