先週の日経平均は、1週間で1,344円(7%)下落し、17,792円となりました。中国経済への不安、および米国の利上げが近いとの不安から、世界的にリスク資産が売られる流れが続き、その余波で日本株にも外国人投資家の強引な売り崩しが続いています。国内投資家は総じて押し目買いスタンスですが、先週は外国人の売りの勢いが強過ぎて、下落が止まらない状況でした。9月4日のCME日経平均先物(円建て)が、17,635円まで下がっていますので、7日の日経平均は大幅下落して始まることが予想されます。

ただし、今週後半には日経平均の反発を見込みます。理由は以下の通り。①テクニカル分析で短期売られ過ぎの指標が出ていること、②国内投資家は冷静に押し目買いを続けていること、③日本の景気・企業業績のゆるやかな回復が続くと考えていること、④日経平均は予想PERで14倍台まで売られており割安と考えられること。

(1) 先週は日経平均が再び安値トライ

日経平均週足と売買高:2014年1月4日~2015年9月4日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

過去2週間の週足をご覧ください(赤矢印をつけたところ)。先々週は、出来高が急増する中で日経平均週足は長い下ヒゲを出しています。安値では国内投資家が積極的に買いを入れていることがわかります。ところが、先週は、長い陰線となり、再び18,000円割れまで急落しました。先週の週足を見ると、価格にかまわずに急いで売っている外国人投資家がまだいることがわかります。

(2)13週移動平均線からの下方乖離率を見ると、短期的に売られ過ぎと考えられる

日経平均の13週移動平均線からの乖離率:2013年1月4日―2015年9月4日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

9月4日の日経平均(17,792円)は、13週移動平均線(20,076円)よりも、11.4%下方にあります。過去の経験則では、13週移動平均線との乖離率が、10%以上開くと、株価が逆に動くことがあります。下方乖離率が10%を超えたので、短期的にリバウンドが入ってもおかしくない水準といえます。

上のグラフを見るとわかる通り、逆に、13週移動平均線との乖離率が+10%を超えると、短期的に株価が反落する傾向があります。ただし、10%を超えてすぐに反落するとは限りません。2013年5月17日には、日経平均の13週移動平均線からの上方乖離率が+16.1%まで拡大しました。アベノミクス開始直後で、外国人投資家が日経平均先物を大量に買って来たために、乖離率がそこまで大きくなりました。ところが、その直後にバーナンキ・ショックで世界的な株安が起こると、日経平均は過熱の反動で、暴落しました。

今回は、下方乖離率が10%を超えているので、ここからさらに日経平均が下がれば、短期的な反発エネルギーも大きくなっていくと予想されます。何らかの理由で、外国人の強引な売りが減少すれば、国内投資家の買いで日経平均は反発しやすい水準にあると思います。

(3)裁定買い残高が2.2兆円まで減少

日経平均と、裁定買い残高の推移:2013年1月4日~2015年9月4日
裁定開買い残高は2015年8月28日まで

(出所:裁定買い残高は東京証券取引所)

外国人投資家がスペキュレーション(投機)によって日経平均先物の買い建てを増やすと、証券会社から裁定買いが増え、裁定買い残高が増加します。外国人が先物を売ると、証券会社から裁定解消売りが増えて、裁定買い残高が減少します。詳しい説明は割愛しますが、裁定買い残高の増減は、投機筋の短期的な先物買い建ての増減を表します。

裁定買い残高は、アベノミクス開始時点で2.3兆円でしたが、その後、主に外国人投資家による先物買建が増えるにしたがって増加していきました。ところが、2015年8月には裁定解消売りが増加して、裁定買い残高は8月28日時点で2.2兆円まで減少しました。9月4日時点の残高はまだわかりませんが、さらに減少している見込みです。

スペキュレーションで買い建てられている先物の残高が減少しているので、ここからは、外国人投資家による強引な先物売りは減少していくことが予想されます。