2日の日経平均は、寄り付き直後に前日比▲308円の17,857円まで下げましたが、その後押し目買いが増えて一時前日比+301円の18,467円まで反発しました。ところが、そこから再び売りが増えて、大引けは前日比▲70円の18,095円となりました。強弱感が定まらず、乱高下する展開は変わっていません。

日本企業の業績拡大トレンドは変わらないと考えていますので、日本株は買い場の判断を継続します。日経平均は予想PERで14倍の水準まで下げており、ここからの下値余地は大きくないと予想しています。日経平均は、ここからは基本的に戻り歩調に入っていくと考えていますが、これからも何回か急落局面をはさみながら、徐々に下値を切り上げていくイメージを持っています。

(1) アベノミクス開始後、4回目の急落

日経平均株価:2013年1月4日―2015年9月2日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

日経平均が急落するのは、アベノミクス開始後で4回目です。4回の下落率を比較すると以下の通りです。

4回の急落局面の日経平均下落率比較

  時 期 下落率
① バーナンキ・ショック 2013年 5月 ▲ 22.1%
② 複合ショック 2014年 1月 ▲ 14.9%
③ 複合ショック 2014年 10月 ▲ 11.3%
④ 中国発の複合ショック 2015年 8月 ▲ 15.4%

最初のバーナンキ・ショックは、シンプルです。当時、米FRB議長だったバーナンキ氏が「将来、金融緩和の縮小が必要になる」と発言しただけで、世界中の株が急落しました。これに対し、②~④の急落は、いずれもさまざまな弱気材料が複合した「複合ショック」でした。いずれも最後は世界全体の景気失速懸念に、悲観が進みましたが、②・③では、実際に世界景気が後退におちいることはありませんでした。今回も、一部に世界的な景気後退におちいると思惑も出ているようですが、私はその可能性は低いと見ています。

私は、今回、景気拡大局面が続いていることが幅広く知り渡れば、日経平均は急反発すると予想しています。ただし、それには今しばらく時間を要する見込みです。

(2) 原油急落で、資源国の株式換金売りが出ている模様

ニューヨークWTI原油先物(期近):2014年4月1日-2015年9月2日

原油の下落に歯止めがかかりません。原油下落は、中東での増産による供給過剰と、中国需要減少の不安から、生じています。ただし、日米欧先進国の多くにとって、原油下落は、ポジティブな影響を及ぼします。原油下落がマイナスになる、資源国では景気の悪化が見られます。

株式市場の需給への影響も警戒を要します。原油下落によって、財政収入が減少する産油国で、収入を補うために、保有する世界の株式を売却する動きも発生している模様です。そうした需給面の悪材料が払拭されるまで、日経平均の上値は重いかもしれません。