先週は日経平均が急落、1週間で1,083円下がって19,435円となりました。中国経済への不安・原油安ショックから始まり、世界景気全体の悪化につながる懸念が広がりました。米国のみ景気好調ですが、米FRBが年内利上げを示唆していることが世界の金融市場にとって不安材料となっています。回復が続くと見られている日本の景気も、4-6月のGDP(速報値)が前期比年率▲1.6%となったことに表れているように、回復の勢いは強くないとの見方が出ています。

今週の日経平均は、さらに下落が予想されます。21日のNYダウが前日比530ドル安の16,459ドルと急落し、CME日経平均先物は18,970円まで下がっています。ただし、下がったところは買い場と判断します。

(1)日経平均2万円割れ、次の下値支持線候補は19,000円

日経平均株価の日次推移:2015年2月2日~8月21日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

(2)8月の中国製造業PMI(景況指数)がネガティブ・サプライズ

中国経済の悪化が不安視される中、21日発表の中国製造業PMIに注目が集まっていました。

中国 財新 製造業PMI(季節調整済):2013年1月~2015年8月

(出所:ブルームバーグ)

21日の日本時間で午前11時過ぎに発表された8月の財新・中国製造業PMI(注)は47.1と、6カ月連続で景況判断の分かれ目である50を割り込みました。事前の市場予想(48.5)を下回り、6年半ぶりの低水準となりました。

(注)財新・中国製造業PMI:7月までHSBCマークイット・中国製造業PMIと呼ばれていた。8月から、HSBCに代わり、財新がスポンサーとなって命名権を取得した。

PMI悪化を受けて、中国の景気実態が予想以上に悪いとの思惑が広がり、21日は日経平均が下げ幅を拡大し、さらに欧米株式が急落する要因となりました。

(3)原油先物が安値更新で、逆オイルショックの懸念が強まる

天然資源を爆食してきた中国の景気悪化懸念から、21日は資源価格が全面安となりました。WTI原油先物は1バレル40.45ドルと、3月の安値43.96ドルを下回っています。

ニューヨークWTI原油先物(期近):2014年4月1日~2015年8月21日

(注:米シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定)

原油価格の下落は、原油輸入国である日米欧先進国に追い風です。ところが、原油急落のプラス効果が出るのには時間がかかり、先にマイナス効果が出る傾向があります。米国は、エネルギー価格下落でメリットを受ける国ですが、短期的にはシェールオイル業者の破綻、石油関連産業の業績悪化など、マイナス効果が先行する可能性があります。

短期的には、資源国および世界の資源関連産業の悪化が、警戒されます。