10年6月中間期に3%増益、海外事業が引き続き成長エンジンに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00006 香港電燈集団(香港エレクトリック) 46.6 HKD
(07/29現在)
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香港エレクトリックの2010年6月中間決算は、純利益が前年同期比3.2%増の27億5400万HKドルだった(前半期比では31.6%減)。同期純利益はBOCIおよび市場の通期予想の41%相当。純利益に占める香港事業、海外事業の割合はそれぞれ64%、36%で、うち海外事業が11%の増益を確保した。海外事業の2ケタ増益を支えたのは豪ドル相場の上昇に加え、昨年11月に英ガスネットワーク事業の持ち株比率を35%から41.3%に引き上げたこと、さらに今年6月に親会社の長江インフラ(01038)から英Seabank Powerの権益を取得したことなど。一方、地元香港では電力消費が前年同期比1.4%の伸びを示したものの、純利益は0.5%減少した。BOCIは「管理スキーム」(SOC:香港政府管轄下の公共事業規定)に基づく香港事業の10年通期の純利益について、前年比1.7%の伸びを予測している。

同社の成長エンジンとして期待されるのは海外事業。BOCIによると、海外事業の利益構成比は2010-12年通期に31%、32%、34%と推移する見通しという。10年6月中間期にはオーストラリアの送電事業や中国の発電事業、カナダのStanley Power、英Northern Gas Networksなどの全事業が増収増益を確保し、利益率も上昇した。BOCIは既存の海外合弁事業および系列事業が2011年、12年に前年比7%、3%の利益成長を確保すると予測し、さらに同社が買収攻勢を継続するとの見通しを示している。同社は現在、長江インフラが率いるコンソーシアムに40%を出資する形で、仏EDFの英送電部門の買収に向けた入札に参加しており、市場のうわさによれば、50億ポンド以上の金額を提示しているもよう。BOCIによると、仮に落札に成功した場合、香港エレクトリックの純負債比率は85%に上昇し、配当利回りは現在の4.6%から5.2%に上向く見通しという。

一方、SCA(現行契約の対象期間は2009-13年)に基づく香港での設備投資は、前年の27億5000万HKドルから10年通期には23億8000万HKドルに減少する見込み。すでに3つの火力発電施設向けに排煙脱硫装置(FGD)プラントが稼働していることや、今年上期に低酸化窒素焼却設備の試運転を完了したことなどが理由。100メガワット規模のオフショア風力発電プロジェクトに着手するのは、当面先になる見通しという。

10年6月中間期には買収代金や前年の期末配当の支払いを受け、純負債比率が18%に上昇した。ただ、BOCIは今期末に12%、11年末には8%に低下するとの見方だ(EDF英国部門の買収が決まった場合には240億HKドルの資金負担が生じ、同比率が85%に上昇する見込み)。BOCIは同業銘柄に比べた負債比率の低さや4.6%に上る配当利回りを理由に、同社が最もディフェンシブな公共銘柄であると評価。目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対する従来の慎重な見方を中立的な見方に変更している。