8月10日~14日、窪田は夏季休暇で不在です。その間、「クイズで学ぶテクニカル指標①~⑤」をお届けします。

私が過去25年間の日本株ファンドマネージャー時代に、実践を通じて有効と考えたパターンを解説します。本日は、「クイズで学ぶテクニカル指標①:急落した成長株」をお届けします。

(1)まず、クイズです。

 成長株として人気のA社株が急落、ここは売り・買い、どっち?

(注:筆者作成)

(2)100%当たるチャートシグナルはない

こういうクイズを出すと、「チャートだけでは今後の株価はわかりません」とお答えになる方もいます。その通りです。チャートに基づく投資判断は、100%当たるものではありません。

ただし、チャートのパターンを見ることで、統計的に今後上がることが多いか下がることが多いか判断することは可能です。統計的に、7割の確率で上昇するチャートのパターンがあれば、それは立派な買いシグナルです。

100%当たるものでなくても、チャートのシグナルを見て売買するのは意味があることです。7割の確率で上昇するパターンが出たら買いを実行、上昇すれば利益が得られます。もし3割の確率で外れて下がったら、その時はさっさと損切りするだけです。7割で当たるパターンのチャートで勝負し続ければ、長期的には利益を稼ぐことができるはずです。

(3) A社急落の理由 3つ考えられます

  • 成長ストーリー崩壊なら、絶対、手出し厳禁!
    株価は、ここからさらに暴落します。
  • 高成長株が、安定成長株になったのなら、買うのは、時期尚早。高成長の期待が裏切られた・・・失望して売ってくる人がまだいると思います。株価は、ここからさらに大きく下がります。
  • 高成長ストーリーに変化なし、上昇ピッチが速すぎたのでスピード調整しているだけなら、13週移動平均線を割れているので、リバウンド狙いの買いが入るかもしれません。ただ、戻り売り圧力も強そうですから、上昇トレンドに戻るのにかなり時間がかかるでしょう。

(4)テクニカルだけで判断するならば、買いは時期尚早、持っているならば一旦売った方がいい

どういう理由で急落したのか、足元の業績はどうなっているのかわからないまま、ただ「下がったから買い」と判断するのは、成長株で大きな損をするリスクがあります。

(5)人気の成長株は値動きが荒い

みんなが熱狂している成長株を、いっしょに買ってそのまま長期投資しても、必ずしも儲かりません。株価チャートを見てください。ひょっとして株価は短期的に2倍に急騰した後ではありませんか?株価チャートには、もう「赤信号」が出ています。たとえ、業績が安定的に伸びていても、人気が冷めれば、株価は急落することもあります。

人気の成長株にありがちな株価・業績変動のイメージ

(注:筆者作成)

急落してきた成長株に安易に飛びつくのも危険です。

Don’t catch falling knives.
落ちてくるナイフをつかんではいけない(英語の格言)

急落している株を買うと、さらにもっと下がることもあります。