第1四半期(4-6月)決算の発表がピークを過ぎつつあります。4-6月経常利益の、通期(2016年3月期)経常利益(会社予想)に対する進捗率は、時価総額2兆円以上の30社平均で見ると29.4%と高い水準にあります。通期計画は、先行き上方修正含みと考えられます。

中国経済失速リスク、安倍内閣の支持率急落など不透明要因があって、日経平均の上値は重くなっていますが、企業業績の回復トレンドは続いていると考えられます。

(1)第1四半期の利益進捗率は高い

 

時価総額2兆円以上30社の経常利益進捗率:進捗率の高い順に並べている

(金額単位:億円)

コード 銘柄名 4-6月経常利益 通期経常利益(会社計画) 4-6月の進捗率
4502 武田薬品工業 487 1,150 42.4%
6758 ソニー 1,387 3,450 40.2%
7267 本田技研工業 2,823 8,050 35.1%
9437 NTTドコモ 2,406 6,870 35.0%
6201 豊田自動織機 639 1,840 34.7%
6954 ファナック 787 2,331 33.8%
8316 三井住友FG 4,045 12,400 32.6%
9022 東海旅客鉄道 1,424 4,450 32.0%
9020 東日本旅客鉄道 1,206 3,820 31.6%
7269 スズキ 623 2,000 31.2%
9432 日本電信電話 3,674 11,800 31.1%
8001 伊藤忠商事 1,240 4,060 30.5%
8802 三菱地所 339 1,130 30.0%
7203 トヨタ自動車 8,453 29,800 28.4%
4503 アステラス製薬 677 2,390 28.3%
7201 日産自動車 2,159 7,650 28.2%
7270 富士重工業 1,301 4,950 26.3%
7974 任天堂 143 550 26.0%
6594 日本電産 327 1,260 26.0%
6902 デンソー 1,070 4,140 25.9%
6981 村田製作所 650 2,520 25.8%
6971 京セラ 470 1,840 25.5%
8309 三井住友トラストHLDG 669 2,700 24.8%
6752 パナソニック 727 3,000 24.2%
6301 小松製作所 509 2,140 23.8%
6501 日立製作所 1,427 6,000 23.8%
4901 富士フイルムHLDG 446 1,900 23.5%
4661 オリエンタルランド 233 1,073 21.7%
6503 三菱電機 672 3,200 21.0%
7011 三菱重工業 616 3,000 20.5%
  合計 41,629 141,464 29.4%

(注:東証一部上場の3月期決算企業で、8月5日までに決算を発表した時価総額2兆円以上の30社について集計、楽天証券経済研究所が作成)

第1四半期の経常利益は、季節要因がなければ、通期計画の4分の1(25%)あれば順当ということになります。ただ実際は、4-6月は1年の中でも売上利益が少なめに出る季節であり、進捗率は25%を下回っていても問題ない場合が多いといえます。現在集計中の決算で、時価総額上位30社で29.4%の進捗率は高く、決算は良好といえます。

(2)じっくり好業績の割安株を仕込んでいく局面

日経平均が、年末22,000円に上昇するとの予想を継続します。海外発ショックによる短期的な下値リスクは払拭されませんが、こういう局面で、割安な好業績株を買っていけば良いリターンが得られると思います。

とりあえず、7日発表される、米国の7月の雇用統計に注目です。強めの数字が出て、米FRB(中央銀行)による年内の利上げ懸念が強まると、株が売られる要因となります。