23日の日経平均は20,683円で引けました。日経平均はITバブル時の高値(20,833円)前後まで上昇しています。私は、この水準でも、日本株は割安と考えています。その根拠をお話しします。

(1)ITバブル高値を一時越えた日経平均

日経平均の推移:1988年末~2015年7月22日

日経平均は、既に2000年4月のITバブル高値前後にあります。この水準は高いと感じる人もいるようです。私は、そうは思いません。

私は、過去25年間、日本株のファンド・マネージャーをやってきましたが、私が運用してきた期間(1987年以降)の中で比較すると、今が一番、日本株が割安と考えています。

(2)PER・PBRなどの株価指標で見て、今の日本株は割安

株の割安割高は、利益や配当金との比較で見るべきと考えています。まず、現在の株価バリュエーションをITバブル時と比較してみましょう。

東証一部のPER・配当利回り・PBR、ITバブル時との比較

  ITバブル時
PER 約 40 倍 17 倍
配当利回り 0.5 % 1.7 %
PBR 約 2.5 倍 1.4 倍

(注:楽天証券経済研究所が作成)

東証一部の平均PERは、1989年(バブル景気時)~2000年(ITバブル時)は30倍~60倍でした。近年は20~25倍で推移していました。今の平均PERは17倍であり、過去の水準と比較して、割安と言えます。

東証一部の平均PBRは、1989年には5倍、2000年には2.5倍に達していました。PBRは、一時0.8倍まで下がったことがあるので、今が一番低いというわけではありません。ただし、日本企業の財務内容が近年良好となったことを勘案すると、現在のPBR1.4倍は割安といえると思います。かつて日本企業は借金が多く、不良債権など簿外に損失をかかえていることもありましたが、今は、借金も不良債権も少なくなり、財務内容は良好になりました。

<参考>

  • PER(株価収益率):株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す。倍率が低いほど、株価は割安。
  • PBR(株価純資産倍率):株価が1株当たり純資産(株主資本)の何倍まで買われているかを示す。倍率が低いほど、株価は割安。

(3)配当利回りと長期金利を比較すると、日本株は割安、長期国債は割高と考えます

長期国債と日本株、どちらの投資魅力がより高いと思いますか。7月23日時点で、新発10年国債利回りは約0.4%。これに対して、東証一部の配当利回りは約1.7%です。私は、日本株は割安、長期国債は割高と考えています。

もちろん、株の配当利回りは確定利回りではありません。株価が短期的に大きく下がったり上がったりすることもあります。それでも私は、日本株は割安であり、価格変動のリスクを負って投資していく価値があると判断しています。

なお、1993年までさかのぼると、長期金利は5%もありました。この時、日本株の配当利回りは1%もありませんでした。この時は、長期国債が割安で、日本株は割高であったことが明瞭です。

東証一部配当利回りと長期金利推移:1993年5月~2015年7月23日

(注:東証一部配当利回りは加重平均、長期金利は10年もの新発国債利回り、楽天証券経済研究所が作成)

配当利回りと長期金利の差:1993年5月~2015年7月23日