9日の日経平均は急落後、急騰しました。9時33分に前日比 622円安の19,115円まで下げましたが、大引けは前日比117円高の19,855円まで反発しました。日経平均2万円割れは「売られ過ぎ」で、日本株は買い場との判断を継続します。

(1)大荒れだった9日の日経平均

日経平均株価:8日終値・9日初値~終値の動き

前日(8日)終値19,737円に対し、9日9時の初値は、前日比▲315円の19,422円でした。9時33分には、前日比▲622円の19,115円まで急落し、日中安値をつけました。その後、急反発し、大引け(15時)は前日比+117円の19,855円と高値引けとなりました。

  • 一時19,115円まで急落した理由
    上海株急落→中国景気悪化→日本の景気も悪化という連想で、日本株にも外国人投資家から強引な売りが出ていたと推定されます。
  • 大引け19,855円まで急反発した理由
    日本の景気回復が続いている中で日経平均が急落したことから、バーゲン・ハンティングをねらった個人投資家から積極的な買いが入ったと考えられます。

9日の日本時間午前9時25分に始まった上海総合株価指数が、前日比マイナスでスタートしたものの10時くらいからプラスに転じました。午後に入って上げ幅を拡大していったのも影響しました。9日の上海総合株価指数は、前日比5.8%高の3,709まで上昇しました。上海株の急反発によって、外国人の売りが止まり、個人投資家の買いに弾みがついたと考えられます。

(2)今の日本株の投資環境を一言でいうと「国内は好調、でも海外には不安いっぱい」

日本の景気は好調です。消費が回復基調にあります。高額品の売れ行きが少しずつ良くなってきました。設備投資の回復に勢いが出始めているのも心強いことです。円安によって、設備投資の国内回帰も出始めているようです。日本の企業業績の拡大が続いています。内需回復に加え、原油安と円安が、企業業績を押し上げます。楽天証券経済研究所では、2016年3月期の東証一部(除く金融)経常利益が前年比18%増になると予想しています。

ところが、海外には不安材料がたくさんあります。①上海株急落への不安、②ギリシャのデフォルト懸念、③資源安ショック(資源国不振)、④アメリカ利上げの可能性、⑤世界各地の地政学リスクへの不安などが、日本株の上値をおさえています。

(3)海外の不安材料で売られたところは、日本株の買い場と考えます

海外には、さまざまな不安材料があり、短期的に日本株が売られる要因となっています。ただし、今わかっている範囲の海外の不安材料があっても、日本の景気・企業業績の回復トレンドは変わらないと考えています。したがって、日本株は買い場と考えます。

上海株が急落しても世界の金融市場への影響は限定的です。上海市場は閉じた市場で、主に中国の個人投資家だけで売買されているからです。アメリカのサブプライムローン問題(住宅ローンの不良資産化)や、ギリシャの債務問題のように、海外の投資家まで巻き込んで損失が拡大することはありません。日本の投資家が受ける影響も限定的と考えられます。

ギリシャがデフォルトしても、日本経済への影響は限定的です。アメリカが年内に0.25%程度利上げしても、日本への大きな影響はありません。中東やウクライナの地政学リスクも、今のところ、日本に大きな影響が及ぶとは考えられません。