日本の景気・企業業績の回復が鮮明になりつつあるので、日経平均は堅調な値動きが続いています。一方、海外に目を転じると、NYダウは上値が重くなっています。米FRBが年内利上げ方針であることが、上値を抑えています。また、新興国の経済も減速が目立ってきました。「日本株は好調でも、海外株は冴えない」状況が続いています。

日経平均は、年末に22,000円まで上昇すると予想していますが、途中で、海外発の不安材料から調整する局面もあると思います。今日は、現在の日本株の強弱材料を整理しました。

(1)日経平均は、ITバブル時(2000年4月)高値を一時超える

日経平均推移:1989年1月4日~2015年6月25日

(2)2013年~2015年は日経平均の上昇率が、NYダウ上昇率を大幅に上回る

日経平均とNYダウの動き比較:2013年1月~2015年6月25日

(注:2012年末を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

外国人投資家が日本株を大量に買い越すことによって、日経平均がNYダウを大幅に上回る上昇となっています。

(3)日本株の強材料

  • 日本の景気回復色が徐々に強まる。
    • 消費増税がなく、国内消費が回復しつつあります。
    • 設備投資の国内回帰が進み始めました。
    • 輸出が増加し始めました。
  • 企業業績の拡大続く

東証第一部の全産業(除く金融)経常増益率予想

2014年3月期 実績 + 36%
2015年3月期 実績 + 6%
2016年3月期 会社予想 + 9%
楽天証券予想 + 18%

(注:楽天証券経済研究所が作成)

円安・原油安が、日本企業の業績拡大に寄与します。

  • 日本銀行が異次元金融緩和を継続している。
    欧州も大規模緩和を続けています。中国も金融緩和に転じつつあります。

(4)日本株の弱材料

  • アメリカの利上げ
    FRBが年内利上げ方針を表明しています。米利上げの前後で、世界的に株が調整すると、日本株も売られるリスクがあります。
  • 資源安ショック
    ブラジル・ロシア・中東各国など、資源輸出に頼ってきた国の景気悪化が顕著です。
  • 中国景気の不安
    中国では、不動産価格の下落が始まっており、中国景気失速の不安が続いています。
  • 世界各地の地政学リスク
    中東・ウクライナ情勢は不安定なままです。また、南沙諸島領有権をめぐり、中国・フィリピン・ベトナム間の対立が続いている問題もあります。中国の南沙諸島埋め立てをめぐって米中間にも亀裂が生じています。日本株にとっては、中東・ウクライナ情勢より、東アジア情勢の影響が大きいと考えられます。