10日の日経平均は、49円安の20,046円と続落しました。午後1時過ぎに黒田日銀総裁が「ここからさらに実効レートが円安に振れることはありそうにない」と国会で発言したことが伝わると、円が急伸して一時1ドル122.45円をつけました。12時51分に前日比168円高の20,264円まで反発していた日経平均は、円高急伸を嫌気して急落しました。

為替レートは、11日午前6時30分現在で1ドル122.71円です。10日のNYダウは236ドル高の18,000ドルでした。CME日経平均先物(円建て)は、20,100円になっています。今日の日経平均は反発して始まりそうですが、為替の動きへの警戒感が残り、神経質な動きが続きそうです。

(1)10日は黒田発言で午後から円高・株安に転換

ドル円為替レートと日経平均の日中の動き:6月10日

(2)ドル高(円安)は行き過ぎと判断しており、円高反転に違和感はない

6月2日の 3分でわかる!今日の投資戦略「ドル高(円安)は行き過ぎではないか?」に記載した通り、一時1ドル125円台まで進んだ円安は行き過ぎと私は考えており、10日の円高反転に違和感はありません。黒田発言はきっかけに過ぎず、いずれ行き過ぎた円安の修正はあると考えていました。為替レートは、当面1ドル120~125円のレンジで推移すると予想しています。

ドル高(円安)が行き過ぎと考える根拠は、以下の4点です。

  • ドル金利の先高感が徐々に低下

    米利上げがあってもドル長期金利のさらなる上昇は限定的と考えます。

  • 購買力平価(企業物価ベース)は1ドル101円辺り

    今の円安は購買力対比でやや行き過ぎと考えられます。

  • 日本の貿易収支が黒字に転換しつつある

    さらなる円安の進展を心理的に抑制する効果があります。

  • 米国がドル高を容認し続けるか不明

    ドル高で米輸出産業の収益が悪化しており、今後米政府筋からドル高けん制発言が出ないと決め付けることはできません。

(3)日本の景気・企業業績の回復色が強まりつつあり、日本株は押し目買い方針

10日朝8時50分に発表された4月の機械受注(船舶・電力を除く民需:季節調整値)は9,025億円で、前月比3.8%増加しました。事前の市場予想(前月比▲1.5%)を上回り、リーマンショック前の2008年7月以来の高い水準となりました。

1-3月のGDP(改定値)で、設備投資は前期比年率11%増加しています。4月以降も、設備投資の拡大が続くと考えられます。円安を受けていよいよ設備投資の国内回帰が動き始めたと考えています。

このように国内では景気回復色が徐々に強まりつつあり、日経平均の調整局面は買い場になると予想しています。