4日の日経平均は、14円高の20,488円でした。上下とも動きにくい展開です。日本の景気・企業業績に回復色が強まっており、下値は堅くなっています。

ところが、米景気が想定外に失速する中で、米FRBは年内利上げの方針を崩していないことから、米国株の上値は重くなっています。今晩ニューヨークで、5月の米雇用統計が発表されます。米景気動向に、引き続き注目です。

今日は、小型成長株投資を行うときに注意すべき点について書きます。

(1) 株の動きは、短期は需給、長期はファンダメンタル(企業業績)で決まります

値動きの荒い小型株投資では、チャートをしっかり見ておく必要があります。需給悪化(売りたい人が増えて買いたい人が減っている状況)が、いち早くチャートに現れることがあるからです。最高益を更新中の成長株であっても、チャートが崩れてきた時は、一度売った方が得策です。

上の図は、小型成長株の値動きが荒くなる場面のイメージ図です。ここで示したように、たとえ業績は安定的に成長していても、株価は安定的に上昇するとは限りません。

バイオ関連とか、ロボット関連とか、インバウンド(訪日外国人観光客)関連などと、成長テーマに乗って熱狂的に買い上げられると、その後、人気が冷めたときに、暴落することがあります。

株価が急騰している間は、いくら利益成長力から見て買われ過ぎと思っても、上昇は簡単には止まりません。勢いよく上がっている際に空売り【注】をしかけると、踏み上げられて損切りの買戻しを迫られることになりかねません。

【注】空売り:信用取引口座で、保有していない株を売り、株価が下がった時に買い戻して利益を得ることを目指す取引。空売り後に株価が上昇したところで買い戻すと、損失が出る。

ところが、ひとたび、株価が急落を始めると、今度は安定的に最高益を更新している成長株であっても、株価の下落は簡単には止まりません。「最高益を更新している成長株なのに」といって損切りを躊躇しているうちに、損失が拡大することもあります。

(2)テクニカル分析を軽視してはならない

値動きの荒い小型株の売買に、テクニカル分析は欠かせません。私は25年間、日本株のファンドマネージャーをやっていました。原則、毎週土曜日に、全産業の主要銘柄のチャート(週足)を見るようにしていました。そこで、個別銘柄のチャート判断をざっくり以下の5段階で評価していました。

◎(強い買い)、○(弱い買い)、△(中立)、△×(弱い売り)、×(強い売り)。

強い売買シグナルが出ている銘柄は、積極的に動くことにしていました。

もちろん、株の長期投資の判断にはファンダメンタル(企業業績)分析が欠かせません。原則、景気1サイクル(景気拡大と悪化の両方を含む3~5年の期間)をイメージして、最終的に業績が伸びていくと考える銘柄を選びます。

ただし、たとえ長期的に業績が伸びる銘柄を選択しても、株価は短期的にはしばしば、長期の業績トレンドを無視して動くことを忘れてはいけません。テクニカル分析で短期投資判断をしながら、ファンダメンタル(企業業績)分析で長期投資判断をすることが大切です。

値動きが大きくない大型株ではテクニカル分析の必要性はやや低下しますが、値動きの荒い小型成長株では特に、常にチャートを見ながらテクニカル指標に変化が起きていないか見ていくことが必要です。

具体的にどんなテクニカル指標を見たらよいか?本欄でも機会を見つけて書いていこうと思いますが、ご興味のある方は、以下の私の著書にて勉強していただくこともできます。

初心者には「超入門!株式投資力トレーニング」(日本経済新聞出版社)、上級者には「投資脳を鍛える!株の実戦トレーニング」(日本経済新聞出版社)をお勧めします。