豪州政府が超過利潤税導入、ロイヤルティーとの相殺効果や今後の展開を注視
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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01171 | エン州煤業(イエンチョウ・コール・マイニング) |
20.9 HKD (05/04現在) |
株価 企業情報 チャート |
オーストラリア政府は包括的な税制改革の一環として、鉱業会社に税率40%の「超過利潤税」の導入計画を発表した。課税対象の「超過利潤」とは、生産コスト、設備投資費、および投下資本に対する正常利益を除外した利益で、資金調達コストは除外項目とならない。同国政府は10年物国債利回りを基準に正常利益を算出する方針で、この値を毎年見直すという。新税導入に伴い二重課税を防ぐため、州単位で徴収しているロイヤルティーの還付を行う予定。超過利潤税は法人税の課税控除対象項目。
新税の計画案は今後3段階の協議を経て内容調整が行われる。事前協議は、向こう3週間の予定で3日に開始された。第2段階の協議は7月に開催され、7月末には最終協議用の草案が発表される。最終協議は2010年終盤に予定されており、政府はこの結果を踏まえて最終的な計画書をまとめる段取りだ。2011年終盤までに法制化の手続きを終え、2012年7月の施行を目指している。同国政府は一方、法人税率の引き下げを計画。現在の30%から2013-14年度には29%、2014-15年度には28%に引き下げる方針で、鉱業会社も減税の対象となる。
同国政府は、利益の多い企業ほど多くの税を支払う超過利潤税について、より公平な税制度としてアピールしているが、すでにBHPビリトンをはじめ大手鉱業会社が強く反発している。BOCIは、大手鉱業各社が今後、控除対象項目の増加や正常利益算定基準率の引き上げ、超過利潤税率の低減などを求めてロビー活動を行い、さらに新税発表前に投資したプロジェクトに関しては特別な措置を求める可能性を指摘。超過利潤税の最終的な計画案は現在の原案とは大幅に異なったものになるとの見方を強めている。
エン州煤業の3日の株価は一時、前営業日比8%安に下落した。超過利潤税に関する情報が錯綜。法人税が40%の追加増税になるとの地元報道もあり株価に影響した。投下資本の正常利益を除いたEBIT(金利・税引き前利益)に40%の課税を行う新税について、BOCIは州政府のロイヤルティーに取って代わるものとみている。エン州煤業は現在、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州における各プロジェクト売上高の7-10%のロイヤルティーを支払っている。最悪のケースとして同国政府がフェリックス・リソーシズの正常利益率算定基準を簿価に対し6%とした場合、エン州煤業の2012-13年の利益はそれぞれ6%、13%減少すると試算される。簿価ではなく取得コストを採用した場合、その影響は5%、9%となる。さらに、エン州煤業が計画どおり2012年末までに同国事業を分離上場させれば、超過利潤税の影響はさらに小さくなる見通し。このためBOCIは、同国事業の公開価格と新税制度の最終案を踏まえて2012年の予想値を調整する。また、3日の株価下落は新税に関するリスクを反映したものと考え、株価の先行きを現段階では強気の見方に据え置き、今後の展開を注視する方針。
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