19日の日経平均は136円高の20,026円と、再び2万円を回復しました。欧米で長期金利が反落したことを好感して、NYダウが最高値を更新し、つれて日本株への外国人買いが復活する要因となりました。

(1)金融相場続く

株の上昇を引き起こす要素に2つあります。

  • 企業業績の拡大
  • 金利の低下

業績主導で株が上がる相場を「業績相場」といいます。それに対して、金利の低下を主因として株が上がる相場を「金融相場」といいます。最近欧州や中国の株式は、金融相場の様相を強めています。金融政策の変更や金利の上下が株に与える影響が大きくなっています。

(2)ドイツ株は典型的「金融相場」

DAX指数とドイツ長期金利の動き:2015年1月2日~5月18日

DAX株価指数の年初来の動きは、ほぼ長期金利で説明できます。

  • 長期金利低下を受けて、株も上昇が続きました。
  • 長期金利の急上昇を受けて、株が下落しました。
  • 長期金利が反落したことを受けて、株が反発しました。

昨年後半から欧州景気の落ち込みが目立つようになりました。さらに原油の急落もあり、欧州のデフレ色が強まりました。これを受けてECB(欧州中央銀行)が大規模追加緩和を実施し、ドイツの長期金利は4月に0.1%割れまで低下しました。

ところが、1-3月から欧州景気はドイツ中心にやや持ち直しました。4月になってドイツ景気の持ち直しがわかるにつれて、ドイツの長期金利が急上昇し、DAXが調整しました。足元は、ドイツ金利の反落を受けて、DAXが再び上昇しています。こうした金利変動を受けた一連のDAXの動きは、典型的な金融相場といえます。

(3)米国株は利上げ時期の思惑が影響

NYダウと米長期金利の動き:2015年1月2日~5月18日

米国は、今年利上げが見込まれているので、長期金利が下がりにくくなっています。NYダウは、利上げ時期の思惑によって、動いています。2月くらいには、早期(6月)利上げ説も流れていて、米国株の上値を抑えました。その後、利上げ時期は9月~12月と先延べになるという見方が広がっていきました。最近、年内の利上げはないとの見通しも出ています。利上げへの懸念が薄れていくにつれ、足元、NYダウはやっと高値を抜けました。

(4)日本株は金融相場と業績相場の混合

日銀が異次元金融緩和を実施しているので、日本株も、金融相場の色彩を帯びています。ただし、2016年3月期には、日本の景気・企業業績が回復色を徐々に強めていくことが予想されています。

日本株は、金融相場で上昇している部分もありますが、また、業績の拡大を反映して上昇しているところもあるわけです。昨日のレポートに記したように、日経平均2万円でも日経平均のPERは約16倍で割高感はありません。日本株は買い場との判断を継続します。