09年12月中間決算で大幅増益、需要回復を追い風に設備投資拡大

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02689 玖龍紙業(控股)有限公司(ナインドラゴンズ・ペーパー・ホールディングス) 13.12 HKD
(03/31現在)
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玖龍紙業の2009年12月中間決算は、純利益が前年同期比234%増となった。特別損益を除いたコア利益は同335%の伸びを記録し、BOCIの通期利益見通しの57.4%相当を達成した。同期には売上原価の約5割を占める段ボール古紙(OCC)の調達価格が低下し、粗利益率は前年同期を7.5ポイント上回る21.1%に改善。販売増に伴うスケールメリットの回復で、営業利益率も8.7%から16.6%に上向いた。中間配当は1株当たり0.02元(前年同期は無配)の予定で、配当性向は8.9%。純負債比率は中間期末に60.1%と、半年前の82.4%から低下した。

中間期の増収を支えたのは主に中国国内の需要増で、国内向け販売が全体の85%を占めた。段ボール原紙、段ボール用中芯、コート二重ボードの売上高はそれぞれ前年同期比55.2%、39.9%、4.6%増。平均販売価格が7.8%、10.8%、14.8%下落する中、販売量の拡大が収入の伸びに寄与した。一方、前半期との比較では販売量、価格ともに上向き、3品目の売上高は33.2%、23.7%、27.8%増加した。また、主原料となるOCCの高騰や海外での需要回復を背景に、3品目の平均販売価格は年初から一段と上向きに推移し、現時点では前年同期を25.1%、29.6%、40.9%上回る水準に達している。

古紙価格は現在極めて高水準にあり、OCC♯11タイプは3月19日時点で1トン当たり298米ドルと、昨年3月につけた過去最高値をさらに18%上回った。米国からの供給不足と需要増が原因。ただ、BOCIによると、顧客への価格転嫁が可能であるため、玖龍紙業へのマイナス影響は限定的。また、米国からの供給が今後2-3カ月に回復すれば、OCC相場が横ばい推移、あるいは小幅の調整に転じる可能性があるという。 一方、同社は決算発表に伴い、向こう3年間の設備投資予算を45億元から95億元へ大きく積み増す方針を発表した。今回追加された設備投資計画は、◇天津工場での新規設備2台の導入◇ハイエンド製品の生産に向けた太倉(江蘇省)工場のアップグレード◇太倉の埠頭建設――などで、新規需要の取り込みと製品構成の付加価値化が目的。これに伴い、同社生産力全体にハイエンド製品(リサイクル印刷用紙やコート二重ボードなど)が占める割合は12年度に30.7%に達する見通しとなった(10年度末には11.1%)。 同社は増額分の設備投資予算を内部資金と銀行借入で賄い、向こう12カ月間、新株割当を実施しない。BOCIは、同社の純負債比率が10年度末(10年6月末)に70.5%に上向くと予想。その後、11年度末には再び60.9%に低下すると見ている。 BOCIは中間決算の発表後、製品販売価格およびOCC調達価格の上昇、さらに11年度に利幅の高い新製品2種を導入する見通しなどを織り込み、同社の10年-12年通期の利益見通しを23.8-33.9%上方修正した。これに伴い目標株価を見直し、同社株価の先行きに対する見方を中立から強気に引き上げている。