今朝6時40分から、BSジャパンの「日経モーニングプラス」に出演して、大詰めを迎えている決算発表についてコメントしてきました。今日は、その内容の一部をお伝えします。

(1)今回の決算発表は、比較的良好であったと言えます

2015年3月期の実績も、2016年3月期の会社予想についても、まずまず好調といえる内容です。

 
 

金融を除く主要537社の経常増益率

  主要537社(除く金融)
前期(2015年3月期)実績 +8.0%
今期(2016年3月期)会社予想 +11.9%
今期(2016年3月期)市場予想 +18.3%

【注】市場予想はQUICKコンセンサス予想。
集計対象537社の選択方法:以下①~⑤を満たすものを選択。
①東証一部上場、②3月期決算企業、③金融(銀行・証券・保険・その他金融)を除く全産業ベース、④5月12日までに2015年3月期決算を発表済み、⑤2016年3月期の経常利益(会社予想)を公表済み。

  • 前期実績についてコメント
    期初(昨年5月)時点で会社予想を集計したら、前年比ほぼ横ばいでした。日本企業は毎年保守的(低め)に予想を出す傾向がありますが、前期は4月に消費増税があったため、例年以上に低めに予想を出してきた感がありました。消費増税の影響は予想以上に長引きましたが、昨年後半から景気回復色が出てきたことを受けて、会社側の発表する業績予想は、徐々に上方修正されていきました。最終的に8%くらいの増益になりそうな情勢です。消費増税による景気停滞があった割には、まずまずの実績といえます。
  • 今期予想についてコメント
    日本企業が期初の会社予想を保守的(低め)に出す傾向は変わっていません。市場予想+18.3%に対して、会社予想は+11.9%だからです。それでも期初から二桁増益予想が出ていることは、注目に値します。今年も、中間決算が出る10月辺りから、業績計画の上方修正が増えると予想されます。
    ①原油価格下落、②円安、③米景気好調のトリプル・メリットを受ける企業の増益、具体的には自動車・電機などの増益が大きくなりそうです。

(2)会社予想が保守的(市場予想よりも低い)の主要銘柄

 

2016年3月期の連結税前利益の増減益率:会社予想と市場予想の比較

コード 銘柄名 業種 会社予想 市場予想
7203 トヨタ自動車 自動車 2.7% 14.6%
6902 デンソー 自動車部品 2.4% 11.5%
6758 ソニー 電機 768.4% 912.3%
6594 日本電産 電子部品 17.4% 33.1%
4661 オリエンタルランド サービス -2.9% 6.1%
9022 東海旅客鉄道 電鉄 3.9% 7.8%

【注】デンソーは、2016年3月期からIFRS採用。2015年3月期は日本基準。
増益率は日本基準の実績とIFRSベースの予想を比較したもの。

上記企業はソニー(6758)を除き、市場予想の増益率が達成されれば、いずれも最高益を更新の見通しです。自動車・電機などに好調企業が多いが、観光ブームの恩恵を受ける、オリエンタルランド(4661)や東海旅客鉄道(9022)も好調が続きそうです。

(3)資源関連企業は今期不調

昨年、原油など資源価格が大きく下がったため、資源開発に関連する企業は、今期不振の見込みです。

 

資源開発に関連する企業の連結税前利益の変化率(会社予想)

コード 銘柄名 業種 会社予想
1606 日本海洋掘削 鉱業 -86.6%
1662 石油資源開発 鉱業 -74.4%
6301 小松製作所 機械 -9.4%
6305 日立建機 機械 -7.1%

【注】日立建機は、2016年3月期からIFRS採用。2015年3月期は日本基準。
増益率は日本基準の実績とIFRSベースの予想を比較したもの。

は、鉱山機械の不振が長引きそうです。日立建機(6305)・小松製作所(6301)は石油などの販売価格下落が利益を押し下げます。石油資源開発(1662)は稼動リグ減少が減益要因になります。日本海洋掘削(1606)