11日の日経平均は241円高の19,620円でした。4月の米雇用統計を受けて米景気失速懸念が薄らいだことを受けて8日のNYダウが前日比267ドル高となったことが好感されました。ただし、11日のNYダウは、前日比85ドル安の18,105ドルと反落しています。米早期利上げの懸念が再燃したことが嫌気されました。

3月決算発表が佳境を迎えています。今日は、これまでの決算発表をまとめます。

(1)決算など発表した企業の株価が大きく動く

決算期特有の現象ですが、決算など重要ニュースを発表した企業が急騰・急落する展開が続いています。11日で目立った動きは以下です。

急落した主な銘柄

  • シャープ(6753):68円(26%)安の190円
    9日の日本経済新聞で、同社が「99%以上の大幅な減資を行う」と報道されたことが嫌気されました。
  • 東芝(6502):80円安(17%)安の403.3円(ストップ安売り気配)
    8日に同社が東証で公表した適時開示資料の内容が嫌気されました。以下はその抜粋です。「特別調査委員会の調査の過程において、一部インフラ関連の工事進行基準案件において、工事原価総額が過少に見積もられ、工事損失が適時に計上されていない等の事象が判明しており、また、それ以外にも更なる調査を必要とする事項が判明しており、これらの事実関係の詳細調査および発生原因の究明にはなお時間を要する見込みとなっております」。同社によると、2013年度以前の過年度決算修正を行う可能性が生じており、決算発表は6月以降となる見込みとしています。

急騰した主な銘柄

  • 三井金属(5706):39円(13%)高の328円
    8日発表の決算内容が好感されました。2015年3月期は、2014年8月に開山したチリ・カセロネス銅山の減損損失▲127億円を計上しましたが、自動車用機能部品、高機能銅箔や排ガス浄化触媒等の好調によって、連結経常利益は前年比55%増の210億円となりました。続く2016年3月期に、同社は経常利益がさらに71%増えて360億円になると予想を発表しました。市場予想(アイフィスコンセンサス予想318億円)を上回る増益で、予想PER(株価収益率)が8倍と低くなることが好感されました。
  • フジクラ(5803):66円(12%)高の634円
    8日発表の決算内容が好感されました。エレクトロニクスや自動車電装の好調により、2015年3月期の経常利益は前年比52%増の210億円となりました。続く2016年3月期に、同社は経常利益がさらに19%増えて250億円になると予想を発表しました。市場予想(235億円)を上回る増益で、予想PERが13倍と低くなることが好感されました。
  • 東ソー(4042):61円(9%)高の728円
    11日14時発表の決算内容が好感され、14時から15時の間に急騰しました。2015年3月期の経常利益は前年比22%増の601億円となり、続く2016年3月期に、同社は経常利益がさらに11%増えて670億円になると予想を発表しました。市場予想(548億円)を上回る増益であることが好感されました。

(2)11日までに決算を発表した主要企業の業績まとめ

 

主要337社(除く金融)の経常利益増益率

  主要337社(除く金融)
前期(2015年3月期)実績 +7.1%
今期(2016年3月期)会社予想 +13.6%

(楽天証券経済研究所が作成)

これまでに発表済みの主要337社(除く金融)で見ると、決算内容は総じて好調です。前期経常利益は、これまでのところ前年比+7.1%増加しています。期初予想では、利益がほとんど増えない計画でした。少しずつ上方修正されてきました。

注目の新年度予想について、期初から二桁増益予想が出ていることは、注目に値します。日本企業は、ほとんど保守的(低め)に予想を出していますから、ここから増益率がさらに拡大すると、最終的に15~20%まで増益率が拡大する可能性もあります。

ただし、現時点ではまだ、決算発表が終了していません。引き続き、明日以降の決算発表に注目したいと思います。