今週の日経平均は、反落を見込みます。先週の日経平均は、1週間で150円上昇して19,435円となりました。運用資産200兆円超を持つゆうちょ銀行が、日本株への投資を増やす方針であると伝わったことが、日経平均の上昇を支えました。

ただし、最近アメリカの景気指標が弱含み、NYダウの上値が重くなっていることから、今週は、日本株も反落を見込みます。

(1)3日発表のアメリカの3月の雇用統計はネガティブ・サプライズ

非農業部門の雇用者増加数

(出所:米労働省)

米景気の短期的な動向を良く表す指標として注目が高い、非農業者部門の雇用者数が予想以上に弱く、驚かれました。3月は、12.6万人増と、景気好調と見なされる目安の20万人増を大きく下回りました。最近、米景気指標に弱めの発表が増えてくる中で、雇用統計まで弱かったことから、米景気にやや不安が生じました。

完全失業率

(出所:米労働省)

3月のアメリカの完全失業率は、前月と変わらず5.5%でした。長期トレンドで米失業率が低下している状況に、変わりはありません。ただし、非農業部門の雇用者の増加幅が大幅に減ったことから、米景気は足元やや勢いが落ちていると考えられます。

(2)日米とも、足元の企業業績にやや不安

これから発表が始まるアメリカ企業の1-3月決算では、業績モメンタムの悪化が見られる可能性があります。原油急落の影響から石油関連産業の収益が悪化することに加え、ドル高が製造業の収益に悪影響を及ぼし始めています。原油安は、最終的にアメリカの経済にプラス効果をもたらしますが、短期的にはマイナス効果が先行しそうです。

日本の企業業績はこれから回復色が強まると思いますが、それが確認できるまでにかなりの時間を要します。なぜならば、日本企業は、新年度の業績予想を低め低めに出す傾向があるからです。これから始まる2015年3月期決算発表の際、2016年3月期業績予想が発表されますが、きわめて保守的(低め)になる可能性が高い。力強い業績回復を期待しても、目先は空振りになる可能性が高いと考えられます。

(3)下がったところは買い場の判断継続

目先、日経平均は弱含みと考えます。ただし、楽天証券経済研究所では、2016年3月期の企業業績(東証一部金融を除く全産業経常利益)が15%の増益になると予想しています。年末には、日経平均は、企業業績の拡大を好感して21,000円に上昇すると予想しています。日経平均が下がる局面は、買い場になると考えています。